第17話


・・・・ベリアルは膝から崩れ落ちた。


「少し体力を消耗しすぎたか・・・腕は・・・もうダメだな・・・」

(しかしあのアバドンの姿は奇妙だ・・・完全体ではないとはいえ

姿はまるで幼き少年そのものだ・・・まだまだ調べる必要があるようだな)




その時・・・ベリアルは全身で異常な気配を察知した。



「あのベリアル様ですよね・・・?私は魔族界で第2の指揮官をさせていただいております

サマエルと申します。魔王様の結界がきれ違う力を感じたので様子を伺いたいに参りました。」




力を感じたといいベリアルの前にサマエルという魔族が現れた。第2の指揮官と名乗っているが

サマエルから感じる気配は魔王とは比べ物にならない異様な気配だった。



「サマエルといったか?お前からは異様な気配を感じる、魔王を上回る気配だ。一体何者だ?」


「ベリアル様、私はあくまでも第2の指揮官です。それ以上でも以下でもありません。

そんなことより魔王様はどこへ?結界が切れ魔王様の力が感じられなくなった、まさか消滅されたのですか?」




消滅・冥府では命絶えることを消滅と呼んでいる。【魂の消滅】





「すまない・・・完全体ではないがアバドンが復活し魔王は神殺しの剣により魂は消滅させられた。

守ることができなかった。本当にすまない・・・。」


ベリアルはサマエルに何があったのか全ての経緯を説明した後深く頭を下げた。



「ベリアル様、頭を上げてください。あなたが頭を下げる必要はありませんよ。

私は第2の指揮官です。魔族界を把握しきれていなかった私にも落ち度はあります。

ですが、あのアバドンの封印は誰が解いたのでしょうか・・・。

あの封印は簡単には解けないようになっていたはずです。何か裏がありそうですね

私も力になりましょう、ベリアル様」



サマエルは、魔王が消滅したというのに妙に冷静な態度を見せていた。

そもそもサマエルとは魔族界の第2の指揮官をしており

魔族界の魔族ほとんどがサマエルの能力について知る者がおらず謎が多い魔族だ。



「そんなことよりもベリアル様だいぶ腕が負傷されているようですね・・・

私が治しましょう。腕を出してください。」



「あっ・・・すまない・・・治せるなら助かるよ。」



ベリアルはサマエルの前に食いちぎられた腕を出した。


サマエルは目を閉じ腕の上に手をかざした



「固定能力・セリノーフォス・回復アナプシキティコ】


サマエルが能力を使うと、ベリアルの腕は月の光に包まれ

食いちぎられたはずの腕が光と共に再生した。



「腕は再生しましたが感覚が戻るまで時間がかかりますので無理をしないよう

十分に注意してください。無理をすれば再生した腕は二度と使えなくなります。」



「わかった無理はしないが、私には時間がない・・・

一刻も早く情報を集めこの事態を納めなくてはいけない。

アバドンと死神が繋がっているとなると最悪は争いが起きてもおかしくはない状況にある・・・」




ベリアルは拳を強く握りしめ感情のままに訴えた。そしてサマエルもその様子を見て誓った。




「ベリアル様、私はあなたの力になると言いました。その言葉は嘘ではありません

現魔王界は魔王様が消滅し力を失いました。間違いなくこのままだと魔族界は滅びるでしょう・・・

ですが私は魔族界の第2の指揮官でした・・・」


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