第10話


アントニーは死神界の移動手段である死神トンネルへ案内してくれた。


通るには通行証が必要みたいだがアントニーは週1回、幻獣界へ見回りに行っているため

職務カードを持っている。そのカードの提示で死神トンネルを通ることが可能になるようだ。



死神トンネルとは・・・・

下級死神の基本的な移動手段である。

上級死神クラスになると個人的な移動手段が個々にあるようだ。


死神トンネルを通るには方法が2パターンある。


1つ目は、通行証である。仕事以外でこのトンネルを利用する場合はタナトス協会で

通行証を発行してもらわなければならない。発行されるまでに時間がかかるため

あらかじめ申請しておく必要である。

しかし通行証を発行してもらうには日時・理由など書類に記載し発行してもらう。

ただ厳しく審査する死神がいるため理由によっては申請が通らない場合もある。


2つ目は、職務カードである。職務カードとはそごとで頻繁にトンネルを利用するものだけが

発行される。毎度毎度申請をし通っていると申請・発行までに時間がかかり

混雑が予想されるため、タナトス協会がこの制度を作ったのだ。

仕事でトンネルを利用する死神は大体がこの制度を利用している。



「アントニー今日も、今日も見回りかい?毎週ご苦労さん・・・ん?

そこにいるのは新入りかい?」


「やぁ、ジョナサン今日も仲良くしてくるよ、そぉ今日から一緒に仕事する

ルシファーだよ。僕と一緒で転生者なんだ。仲良くなれそうだよ」


死神トンネルの前には管理人のジョナサンという死神がいた。


「初めましてルシファーです。アントニーと一緒に仕事することになりました。

よろしくお願いします。」


「おう、頑張れよ」


俺はジョナサンに挨拶をしアントニーと一緒に死神トンネルへ入った。



トンネルの中は赤いフィルムのようなものがぐるぐると回っている。

「なぁ、このフィルムみたいなものはなんだ?」


アントニーは難しそうな表情をしながらしばらく考えていたが

考えがまとまったのか話し出した。



「これはアカシックレコードだよ。」

「アカシックレコード・・・?」


聞いたことのない言葉だった。この世界に来てからわからないことだらけだ。

しばらく沈黙が続いたがまた話し出した。



「アカシックレコードは人・土地・この世に存在するものたちの記憶だよ。

この死神トンネルは色々な物の巣窟なんだ。

このアカシックレコードはタナトス協会に繋がっているんだ。

そこで人の寿命だったり・罪を犯した者だったり

あらゆる物を管理されている。そこから死神たちに伝達され死神は仕事を遂行するんだ。

でも四天王クラスになると封印も開けているし中にはアカシックレコードを

自在に扱えるものもいるらしい・・・

僕もそこを目指しているんだ!一緒に頑張ろう!ルシファー!」




「そうだな。頑張ろう!アントニー」


アントニーはアカシックレコードの説明と一緒に自身の目標も教えてくれた。

目標を話しているアントニーの目は輝いていた。なんだか俺も頑張りたくなった。



しばらく死神トンネルを歩いていると周りに幻獣たちが映るアカシックレコードがあった。



「ルシファーもう着くよ!」



アントニーがそういうと幻獣界のアカシックレコードが俺たちの体を包み込んだ。


気づくと俺はさっきとは全く違う世界にいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る