第62話スポーツ観戦

私はスポーツをする事が楽しいと思っていて、スポーツを観戦するのが好きではなかった。映画とかもそうだけど長い時間その場にいるのが基本は得意ではない。自分の思った通りの運びにならないと一気に白けるし、そんな私とは反対に「ああ…」とか「行ける行ける行ける!」、「何やってんだよー!」とかまるで自分が頑張ってんだぞ!応援してやってんだぞ!って強い感じの人達が理解出来なかった。特に、それを生活の軸にして応援している人達がいる事には、おかしいとさえ思えた。手抜きをして買っても負けても気持ち良いわけないよ。選手は常に全力だろと思っていた。


確かに、自分の信じたものが叶うのは好きだしとても嬉しい。だけど、そんな事よりもお前自身に立ち塞がる壁を突破しろよ!と思っていたのだ。そんな事に目を向けないで、頑張って達成する気持ちのある人間に託して、成功した気分に浸かってなんの意味があるのだろう。応援チームが負けても、怒れる資格なんてあるのかよと思った。私は辛いし逃げたし泣いたりしたけど、それでも幸せになってやるとしがみ付いて生きている。そんな私がスポーツを見て(この人達も…頑張ってる…私も頑張ろう!)と戦う場所は違うけど、頑張る友だと思うのは良いけど。お前らはその過程を踏んでいるのか?地元だから、この選手カッコいいから、強いから、そんな程度の理由で金出してギャーギャー言ってないよな?と思っていた。


そんな風に冷めていた私だけど、そんな人達が羨ましく思えてきている。勿論、自分も頑張ってる事が前提にはあるけれど、私はあそこまで誰かに希望や成功、自分を他人に託したことはあるのだろうか?あそこまで、勝ち負けを全力で喜んだ事はあるのだろうか…。考えてみたけど、私には無かった。何処かでは他人に任せきれない、きっと見下していたり、自分が優秀だと思い込んでいた傲慢から丸投げが出来なかった。頑張る人を、助けてくれる人を信じてあげられなかった。自分で成し遂げたこと以外は価値が無いと切り捨て、波の少ない面白くない人生を作っていた様に感じた。現在、私は何か夢中になれるものを探している。この人達が頑張っているから、自分も負けていられない、頑張りが叶うって事を証明させてくれよ!思わせてくれる存在を探している。この人達が悲しんでいると、喜んでいると、自分も同じ気持ちになる仲間を探している。もし、皆が私みたいに冷めているなら…何か応援できるものを探してみると良い。きっと、楽しくなると思うよ!

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