第44話蝉にバウリンガルと遊ぶのをやめた理由

お父さんがバウリンガルを勢いで買って来てからは、バウリンガルは家族のおもちゃになった。このバウリンガル、とにかくナイスな返しをする。


お母さんが便を溜め込んでしまった時に、バウリンガルを持たせて気張らせに行かせたんです。本人はめっちゃ嫌がってましたけど、私達がそれ面白いねと集団で圧を掛けたんで渋々やらせたんです。トイレの閉鎖空間なので確かめようがないのですが「んん~!」って気張る声を読み込ませたら「頑張れ!」って返事が来たそうです。それでウケたお母さんは、笑いながら排便するという偉業を成し遂げました。


昨日にんにくラーメンを食べて来たって弟が、朝にお腹が張っていると言ったので、勢いよくおならをしてもらい、バウリンガルに読み込ませたら「元気!」と出ました。確かに、にんにくは精力が付きますからね。


で、本題。その時は夏でした。青い空、クソ熱い外、そして蝉の鳴き声。たまたま暇をしていた私は思いました。(蝉ってなんて鳴いてるんだ?)バウリンガルもあります。これは試すしかありません!竹藪へ向かうとアブラゼミを見付けました。慎重に近づいて、そっとアブラゼミの鳴き声を読み込ませました。すると「さびしい」と出ました。お前!こんだけ周りでワーワー鳴いているのにさびしいってなんだよ!竹藪の近くで仲間も鳴いてるぞ!って思いました。奴だけなのか分かりませんが、アブラゼミはとてつもないさびしがり屋か、同じ仲間の鳴き声を環境音くらいにしか実は認知していないのかも知れません。


次に代表的なミンミンゼミです。こいつは見つけるの苦労しました。山の中にしか何でかいなくて、木の上にばかりいたので…。まぁ、一日でなんとか出会えたんですけどね。こいつのミンミンを読み込ませたら「うるさい!」と出ました。そりゃね、一匹が遠くで鳴いてるだけでも存在感を出すくらいの鳴きっぷりですからね。鳴き声の発生源なわけですから当然ですね。耳栓機能か、控えめに鳴いたり、超音波として求愛を届ける選択は出来なかったのだろうかという疑問がありますが。現在、進化している最中なのかも知れません。


こんな遊びをしていて楽しいなって日々が続いてたんですけど、家でバウリンガルを持って廊下を歩いている時にボタンを押してしまったのか、ピピ!って何かを読み込んだのです。え…?と思いながらなんと表示されているのかを見たら「ここにいるよ」と出たんです。このバウリンガルは面白いんですけど、反応がナイス過ぎてちょっと気味が悪いという話も家族でしていて、もう無理!とそれ以来、私は触る事は辞めています。

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