第31話ヴァージン30歳(初体験に失敗した日)

これは良い事なのか、それとも悪い事なのか未だに分からない。実は私…処女なのだ。もう30歳も近いのに、処女のまま生きている。毎回、誕生日が来る度に考えてしまうのだ。スティックノリ兄さん、ソプラノリコーダー兄貴と私はテレパシーで会話をするのだ。いつも結果は「踏み止まれ…あっすぅ。素敵な殿方と出会い、そこで処女を捧げるのだ。」と説得させられているのです。自分で言うのもあれだが、お顔は特別悪くはない。一応モテる。告白された経験もあるし、交際していた経験もある。人を好きになった事もある。


原因があるならば、お姉ちゃんが性にアグレッシブな方で色々と巻き込まれた事がある。一緒にお風呂に入る時に、アソコを捏ねるように洗ってくれと言われたり、温泉でイカされた経験もある。この話は別の機会に取っておこうと思う。お父さんのお母さんへの強い愛をセクハラジョークで聞かされた事もある。お母さんが閉経をした時に「これで毎晩、出し放題や」と汚いジョークをかましたのは今でも覚えてる。因みに言われた本人はめっちゃ照れてるのだ。おかしいだろう?私の家では私とお姉ちゃんにそっくりのAV女優を見つけると、家族で鑑賞する習慣がいつの間にか出来ていたけど、それらがトラウマにでもなっているというのだろうか?いや…前にも言った通り、縁がないのだと思う。


前に付き合った彼氏とはなかなか事が進まなかった(約10年前)。二人とも大人しいし。愛がこもってれば良いじゃない!だと思ってるのに、(下手くそだったらどうしよう…)と、してもないのに考え込んでしまった。自分もAVをみているのに、避妊のあるような性行為は快楽に溺れている!汚い!獣!と思い込んでしまっている部分もあった。これはすごく失礼な言い方になるけど、私と性行為に及ぶより乱暴を受けた事がある人と交際して、トラウマにもなっている性行為する方がハードルが低かったと思う。このままでは行けないと思い。ルールを決めた。手を繋いで歩く事にしよう。会ったら必ずキスをしよう。布団の中で話し合おう。彼も…いや、私が弱過ぎたのだ。だから管理した。性行為に向かって日々のミッションを熟す様に励んだ。服の上からおっぱいを揉まれる、局部を触れるトーレニングをした。彼には申し訳なかったと思う。そこまでしてヤレないのだ。精巣に負担の掛かる行為をさせ続けたと思う。


そして、試合の本番!練習の成果を見せる時を決めた。当日のラブホテルで、私達はキスをした。そのままベッドに倒れこみ、互いに服の中へ手を忍び込ませた。「ん…」とエッチな声が出た。あ~ん次に進んで欲しい…って気持ちになり、ベッドで転がりながら素っ裸になった。そこで少し抱き合った、彼の体温が裸の私に伝わる。目を閉じると、彼の呼吸や心音が私の心音と重なり出す。このまま一つになりたい…。彼も同じことを考えているのだろうか?恥ずかしくて聞けなかった。今思えば、このまま行けば良かったのだと思う。理想の流れだったと思う。


だけど計画通り、進めようとなってお風呂に入る事にした。泡ぶろの作り方を失敗した。AVではしてないのに、洗髪までしてしまった。だけど、ここはここでリラックスが出来た。エッチなジョークを言いながら互いに性器を擦らせた。ちょっとエッチな気分ってのになり、そのまま行けば良かったのに…ここでお酒に頼ってしまったのだ。結構、酔っ払った状態で行為に及ぼうと思ったのだが、緊張しているのとお酒に強い方なので全く酔わない!彼は大分酔っ払っていたのだけれど、私があまりにも酔わないでがぶがぶ飲んでるから、仕方なく自分も飲んでるうちに顔が青くなって、ゲロを吐いてしまった。その後は結局、彼を介抱して私の初体験の挑戦は失敗に終わった。それから彼とは分かれる事になってしまい。私は臆病になり、理想が高くなり、色々と拗らせて今に至る。

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