第26話台風一家だと思い込んでいた。
縁という言葉がある。縁は様々な万物に存在しており、その中で私達は生きているのだ。自分が知っているからって相手も知っているかと言ったら、決してそうではない。私が小さい時に都会の同じ歳の子供が、魚の切り身が海を泳いでいると思っている。カブトムシに電池が動いていると思い解体したなんて話を聞いたことがあった。当時は決めつけて「ありえねー」なんて言ったけど、今の私は少し違う。今まで縁が無かったのだから仕方がないと思う。私の同世代で「都会の子達ってのはな?」ってこの例を出しても聞いた事ない、知らないっていう人もいるし。バリバリの都会っ子だけど魚の姿形を知っていて、カブトムシが生きて動いているのを知ってる子だっている。何が差を付けたのか、知る縁が無かっただけである。世間知らずだし、常識外れだし、恥ずかしい事であるけど…どうしようもないのだ。
私は台風一過をずっと台風一家だと思い込んで過ごしてきた。台風一家の意味は「台風みたいに騒がしい家族」、浦安鉄筋家族みたいな家庭だと思い込んでいた。だって、私が生活している場面で台風が過ぎ去った後に、空が晴れ渡る時に台風一過だと口にした人がいないのだ。教えてくれる人は居なかったし、間違って使っていてもそれで通じてしまっていた。調べようとは勿論思わなかった。何か他の勘違いされる言葉を調べた時にも、たまたまそのサイトには載ってない等で、とにかく台風一過を知る縁が無かった。だから知ることが出来たのは、20代前半のクイズ番組だった。台風一過をクイズで目撃したことが無かった私は、どや顔で一家の方を選択していたので、正解を聞いた時にカルチャーショックを受けた。「え…お姉ちゃん」と弟に言われたけれど、ほんと、とことん縁がなかった。私は漢字が好きで実は1級を持っているが、そこでも台風一過を目撃する事が無くてここまで来てしまったのだ。逆に縁があるとどんな年齢でも知っている。
私は仕事とかで教えても直ぐに忘れてしまう、覚えられない人に対してはまだあれこれ口にするけど、全く知らないって人には怒れなくなった。だって、縁がとことん無かったんだもん。今の子供は黒電話が使えないみたいな話があって、「え~信じられん」なんて話があった。いや、縁がとことん無いんだから仕方がないだろう。呆れるのはおかしいんじゃないだろうかと思った。じゃあお前は、子供と出くわす機会があるか?黒電話を知らない子供、必要としている子供と出くわす機会があるか?知らなかったとして教えようと思うか?教えないといけない場面と遭遇するか?と私は思うのだ。屁理屈みたいだけど実際にそうだと思う。でも、知らなくてビックリする事ってのはよくある。これはある知り合いの話なんですが、また別の場所で話したいと思う。
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