第25話海老が食べられないから学ぶ

私はアレルギーではないけれど、海老が食べられない。蒸す、焼く、煮る。他になんかあったっけ?とにかく殆どの調理法で出されると食べれない。なんだろう…世間のいうプリップリって状態の歯応えがまず耐えられない。歯が食い込んで身をプチチチと裂いていく感じが苦痛だ。そして調理されると出す、あの匂いが良いとは思えない。吐き気を催す匂いだ。なんで海老が駄目なのか?物覚えが付いた頃からとにかく苦手だった。トラウマか何かがあるのかも知れないと考えるけど、全く思い出せない。生まれつきの体質、設定だと思っている。そしてこの海老嫌いは、自分でも呆れるくらいに常軌を逸している面がある。


お母さんがコロッケを大量に色んな種類買って来たんですが、その中には海老コロッケが入っている。私がエビを食べれないのは知っているので、ここはイモコロッケ。ここは牛肉コロッケと大きな皿に丁寧に分けて出してくれるんです。けど、うっかり千切りキャベツを敷いた後にドカドカ盛ってしまったのです。地雷状態のコロッケの山。別に家族なんで、箸でコロッケを裂いてこれは海老じゃないよーって差し出されても嫌ではないし、皆もそれに抵抗はないんですけど、やっぱり申し訳ないので集中するんです。コロッケの山をクンカクンカすると匂ってくるんです。衣に紛れても誤魔化せない海老の汁の匂いが!私はそれを菜箸で選別していきます。すると選別したコロッケは全部海老コロッケです。他のでも分かります。グラタンとかも完全に表がチーズだけの状態でも中にエビが入ってのが分ります。どうしてここまで分かるのか、自分でも理解出来ません。


海老嫌い=年齢(幼少期は知らん)をやって来て思うのが、嫌いな食べ物があるってのは悪い事だけど選別する思考、五感、時に霊感を研ぎ澄ます行為なのだなと感じる。自分がいかに嫌な思いをせず、毒を受け取らずに済むのか、これは現代社会が忘れようとしている、生存競争の感覚かも知れない。そして、嫌いだって神経を張り巡らせて生活する様は、ある意味で大ファンなのではと思う。一緒にすんなと思うだろうが私の海老嫌いとベジタリアン、動物愛護、嫌煙、原発反対、フェミニストとかそんな大差ないと思う。最早、アンチスタイルのファンだと、ツンデレファンなんだと思う。


因みに、似たような見かけの蝦蛄も食べられない。そして不思議な事に、酔っ払った親戚のおじさんに無理矢理、海老の生を食わされたら、それは美味しく食べられた。なんだ!私は海老を食べられるようになったんだと、勢いでエビフライを口にしたら気持ち悪くてゲロ吐いてしまったんですけどね。はぁ…本当はアンチスタイルのファンを辞めたいと思う。海老に気を使って生きてる人生って馬鹿らしいから。でも、無理なんじゃ。何度も挑戦してるけど吐いてしまう。これは最早、食べ物を粗末にしているのだと思う。海老の生だけは取り敢えず食べれるし、今日も選別する人生を選びたいと思う。

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