第24話リングが上映される頃

私が小学校3年生の頃、有名なホラー映画の情報公開がされた。それは「リング」である。今では呪怨の加代子と一緒にギャグキャラクターとして大活躍をしているけど、初期の頃は結構マジで怖い路線を突き進んでいた。今では落ち着いてきたけど、とにかく影響を受けやすいタイプだった。当時はビデオの時代だったので、家に名前の書かれていないビデオがあると、あり得ないんだけど呪いのビデオかも知れないと、かなり神経質になっていた。そんな様子を見ていて家族は私の反応が面白かったみたいで、ドッキリを仕掛ける事になった。


朝、テレビのCMでリングが流れている時に皆が神妙な顔をしていた。気になった私はどうしたの?とお父さんに聞くと、「あんな…このリングなんやけど…CMで見ても死ぬねんて。…貞子くんねん。」と言われました。私は朝から大パニックです。よーく考えればそんな事があるわけないのに、嫌だ!まだ大人になってないのに貞子に殺されたくない!めっちゃ泣いてました。だけど、お父さんは続けて言います。「大丈夫だ…。リングのCMとかシーンを見れば一週間延長される。」これは昔話で三年峠って話があって、その坂で転ぶと三年しか生きれなくなるんですが、また転べばそこから3年生きれるので、結果長生きしましたって話です。そこから拝借してきたんですが、もう鵜呑みです。


私はめざましテレビの映画ランキングで一位のリングをビデオに録画しました。それから私はリングを6日に必ず見る生活を始めました。7日目なった瞬間に殺されると思ったので、余裕をぶっこいても6日目には見ていました。リングの流行りが終わり、CMでもやらなくなっても私は6日目にリングのワンシーンが入ってるビデオを再生していました。家族も最初は「皆!死んじゃうからリング見て!」なんて言ってる私に面白がって付き合ってたんですが、(こいつ、まだ信じてんのか?…流石に大丈夫か?)と心配されるようになりました。そして「あんな、リングのCMとか見ても死なんねん。大丈夫なんやって。」とお父さんに言われたんですが、今までリングを見て来たから生きていられると本気で信じていたので、今更そんな事を言われても頑なに信じていませんでした。(やべぇ…こいつ狂ったかも?)と思われたみたいで、リングを強制的に消されてしまいました。


もうね、大発狂してました。皆は私が死んでほしいのか、皆は生きたくないのか?死にたくない、だからリングをさっさと見せろ。こんな会話をしてるのは断言出来ます。全世界で私だけです。結局、次の日に死ぬかもしれないと友達に説明したら「そんな訳ないじゃん」で片付けられ、その後は普段通りの生活をしていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る