第10話冬の外で鍋
私の家は変わっている所が多々ある。ほんと最近知ったのだが、多くの家庭ではバーベキューはするけれど、冬の外で鍋やおでんを食べない事である。「なんか私の家の周りってさ、この時期に外で食べないよね?」「そんなん当たり前や!うちだけのルールなんやから!」「え…マジで?」本当に疑問を抱かずに生きて来たので、気付いたのは二十代後半だった。「どうして周りは、外で食べないの?」「お前はアホか?そんなん決まっとるやろぉ、寒いからや!」いや、うちら皆もうアホだろ。アウトレイジみたいに登場人物みたいに全員アホだろ。
で、なんでこんな事をしているのかというと、寒い中で、温まるのが堪らないからだ。酒飲んでも、寒さで醒めて飲みやすいから。そして両親が恋人の時代、この市にも屋台のおでんがまだ出回っていて、そこで会話を重ねて縁が深まった歴史があるからだ。なんか、恋人時代からの習慣にするにはダサくないか?…下らんと一言で片づけられそうなものに付き合わされてる感じだが、私も誰かと恋人になれて、こんな行事みたいなのが出来たらなぁと思った。
勿論、子供達にはどうしてこれをするかはちゃんと教えるし、参加するのも任せようと思う。散々悪口を言って来たが、寒い日に外で温まるのはやっぱり好きである。
色んな物に感謝が出来る。家があること、火があること、食べ物、酒、家族とか。これらの温かさが時間に溶け込む。
個人的には二時間物の刑事ドラマだけの光景だと思ってたけど、それが目の前に広がっている楽しさ。いつも以上にこの場に相応しい自分を演じたくなる。もし屋台があるなら知り合いと行って、おでん食べながら酒を交わしてみたい。きっと特別な時間なんだろうと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます