おねがい

夏の終わりの

少し冷んやりする台所に立つ


お茶碗を洗っていると

涼しい風がふぅわりと うなじを撫でていって

振り向きながら ふと思った


いつか 遠い未来のことだけれど

あなたが先に旅立ったとしたら?


こうやって 風がやさしく後ろを通り過ぎるたびに

あなたと あなたがいないことを 私は思い出すのかしら



あなたはきっと 夢に出てきてくれたりなんてしない


だけど 風にはなれるよね


あなただってわかる風になって

時々 私を撫でてくれるかな


そしたら私 ひとりでも

がんばって生きるよ

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ことの葉だより〜確かな事と不確かな事と たまきみさえ @mita27

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