14 不器用なお貴族様



 私新聞発行。


 現在むくれたお顔、形成中です。


 不機嫌メーターは75%くらいですかね。


 行儀が悪い? 礼儀がなってない?


(知ったこっちゃないです、このリア充様めっ)


 心の中でとあるお方の方へ、あっかんべー。


「ご主人様はとってもモテてますね。羨ましいです」


 もちろんその言葉の訳は「ずいぶんと楽しそうでしたね。異世界のイケメンリア充めっ」です。


 ご主人様は、従業員にあっかんベーされているのも知らず、涼しい顔です。


「お前の方も男共から声をかけられていたじゃないか」


 たまにですけどね。でもそれはモテているのとは違います。

 集まってくるのは私の外見目当ての人ばっかりです。

 それか迷子を心配しにきた、親切で余計なお世話な人とか。


 ロリコ……ではなく、その手の趣味の人は私の範囲外なので、ノーカンです。

 数には数えません。


 そういう人でも良いという心の広い人もいると思いますけど、残念ながら私は大人の女性として見てほしいのです。


 あっ、そういえばご主人もその手の人でした。


「何か失礼な事を考えられているような気がするな」

「きっ、気のしぇいです!」

「ほう、わざわざ自供ご苦労様。尋問する手間が、省けた。今夜はお仕置きだな」


 噛みました。

 自爆してしまったようです。


 でも、本当は分かってるんです。

 ご主人様は意地悪しにも来てるけど、一人で立ってる私がつまらないだろうって思ってきてくれたんですよね。


 リア姉さんが言ってましたもん「カーライル様は不器用な人なのよ」って。

 第一本当に心の底から意地悪だったら、大勢の人から好かれてませんでしょうし。


「うちの屋敷のメイドが、そうつまらさそうな顔をするな。いつでも幸福そうにしてろ。俺に拾われて幸せだろう」


 傲岸不遜ですけど、言おうとしている事は分かります。

 こういう所がきっと人気あるんでしょうね。


 意地悪だけど、やっぱり優しい。


 でも素直にありがとうと言えないので、言葉にするのは勘弁してください。


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