15 ご主人様への恋心



 社交パーティー終了後。

 生意気な口を叩いた使用人に、天罰が下りました。


 屋敷に返ってきた私は、解放させてもらえず、ご主人様の私室へゴー。


 逃げようとしましたが、引きずられて、ベットの上でまな板の鯉状態。


 抵抗するもむなしく、いやらしい感じで弄ばれています。


 なにがあれしてどうなってるって?


 なにとかあれとか言わないでくださいっ!


「ひぁっ、ご主人様。もう駄目ですぅ~」

「ふふふ、可愛い声を出すじゃないか。もっと頑張れるだろう」

「ひぃっ!」


 優しいけどやっぱり意地悪。


 右へ左へ転がされる私は、ご主人様からお仕置きされてます。

 理由は、会場で退屈な時間をご主人様に提供した罰だとか、何とか。

 そっちなんですか。

 意味が分かりません。

 理不尽すぎます。


 やっぱり、ご主人様はとってもとってもイジワルですっ!


 拾ってくれた恩もありますし、時々優しい所とかもあるですけど、基本毎日がドエスで俺様です。


 私は振り回されてばっかり。


「ふにゃあ、そこは駄目です~!」

「そうか、ここがいいのか。もっとイジメてやろう」

「うぅぅ」

「お前のそういうあどけない顔が歪むのが、毎夜の楽しみなのだ」


 なんて破廉恥!

 極悪人!


 その手の趣味の人ですし、やらしい事させたら天井知らずですし。


 この人、とんでもない人です!


 私はイケメンが好きです。

 性格が良いイケメンならもっと、ウェルカムです。

 ご主人様の事も、最初はイケメンだったから、ちょっとの意地悪なら許してました。


 でも行き過ぎた意地悪は嫌です。


「ん? 何だ俺に文句でもあるのか?」

「ひぃっ」


 ごめんなさい。もうやめてください。


 暗闇の中、「ふふ」とか怪しげに笑われると「ひぁぁぁぁ」パニックになります。怖いです。

 そういう意味でなくても、何も考えられなくなります。頭が真っ白になります。


「お前がこっちに惚れている事は知ってるんだ。嫌な振りしてこんなにも反応してるじゃないか。お前は正直だな」

「ちっ、違いまひゅ」


 噛みました。

 墓穴掘りました。


 そうです。だって、嘘です。


 意地悪嫌いです。怖いのも嫌です。

 でも、何だかんだ言って、こんな人の事を好きになっちゃったみたいです。

 なら、そこも良いかもって思えてきてしまうんですよね。そういう駄目なところも魅力的に思えてしまうから不思議です。


 意地悪な顔も好きです。

 ドエスっぽい言動してる時の声も。


 私、異世界に行って、イケメンだけど本当に性格の悪い人に惚れてしまったみたいです。


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