幕間・賢者の仮説
――ここまで読み進めてお分かりいただけたかと思うが、私が異界より得た知識に基づいた
このようなエピソードがある。ある王侯貴族が、関係の良好だった隣国の美しい姫君との婚約を突然破棄し、会ったばかりの町娘との駆け落ちを決め、しがらみの無い遠方の地で婚姻するに至った。異常なことに、その町娘とはその日まで一切面識が無く、馬車から転んだ拍子にたまたま接触しただけで、婚姻までの一連をたったの三日で完了させている。調べによると、その貴族と町娘は高い魔力知覚を持っており、また有する
前章にて説明した通り、同質同値――すなわちタイプと密度の等しい
再現性に乏しいが、近しいタイプ・近しい密度の
各種依存症の症状や
発生条件の一つに、近しい
加えて、両者の魔力知覚の高さも必要のようだ。これは年齢による衰えもあり、ピークとされる10代前半~20代後半までが好ましい。
――だがそこまでの条件を揃えても、同現象を再現出来たケースは、非常に稀であった。(というよりも、人為的な検証実験では一つとして再現出来ず、過去に観測されたものは既に偶発的に発生済みのものばかりであった)。他にも何か、発生条件があるものと思われる。引き続き調査を進める次第だ。
もしこの仕組みを解き明かし、再現性・安定性を保持したまま人類全体に適用することが出来れば、人類という種を一つ上の領域にシフトすることさえ叶うやもしれない。この《
(ミルカグラス異聞録・17巻3章「仮説・
※注釈:本章はその再現性の低さや内容の不明瞭さから、一般的にはオカルトの部類とされており、多くの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます