破壊とバランス

 字数の都合で2話に分かれましたが、私の中では一続きの話だったので、こちらにまとめてしまいます💦


 こんな話載せていいんだろうかと思いながらも、更新してしまいました。なかなか書けず、難儀でしたが……。

 石崎君と坂上君は同じ野球部なんだとか、泉と石崎君は同じ小学校出身なんだとか、一応序盤で伏線(?)は張ったつもりなんですけど、それってもう4年前だよ。誰も覚えてないよ~(;´・ω・)

 野球部のお話も考えてはいたものの本編にうまく混ぜきれず、唐突な展開になってしまって反省なのですが、これが今の私の精一杯。

 お付き合い頂いたあなた、本当にありがとうございました。



 中学生の頃。

 放課後、廊下で友人とお喋りをしながら、何気なく眺めた窓の外。

 男子二人。クラスメイトと、その後輩。

 二人は縺れ合い、じゃれ合っているように見えました。けれどよく見れば、クラスメイトが一方的に後輩を殴っているのでした。後輩のよろめく体、振り上げられる拳。

 私はその光景の意味が分からず、ポカンとしました。

 突然、友人が駆け出しました。訳が分からないまま後を追い、辿り着いたのは職員室でした。

 友人は出てきた担任に、「窓の外を見てください」とだけ告げました。

 窓の方を見るなり、担任は血相を変えて駆け出しました。友人はその背中に向かって「私達が言ったってこと、秘密にしてくださいね!」と叫びました。

 今思い返しても、友人の対応は鮮やかでした。私はただ、ポカンとしてしまって……。


 あれは、私が初めて目撃した暴力でした。


 クラスメイトの男子には、彼なりの理由があったようです。指導を受けた彼に同情する人もいました。殴っても仕方ない、と。

 けれど、あの場面を目撃した私はそう思えませんでした。抗えないまま、殴られていた後輩。力の差は明らかなのに、力任せに殴っていたクラスメイト。どんな理由で正当化したとしても、それは暴力でしかありませんでした。


 けれど……。


 そこまでいかなくても、些細な皮肉や陰口、蔑みや嘲りは身の回りに溢れています。それを正当化する何かしらの理由があれば、ターゲットへとほとばしり、その心を、体を傷つけていく。

 我が身を振り返ってみても、そんな風に思います。


 暴力の連鎖、といいますが、暴力は再現される性質があるのだそうです。理由はいろいろあるそうですが、未処理な体験・受容できない体験を再現することで、それをコントロールしようとする心の働きもあるのだとか。被害者ではなく加害者となることで、無力さから逃れ、コントロールを取り戻そうとする無意識の試み。

 私達はみんな、どこかに傷を抱えている。

 傷は疼き、膿み、時にその痛みや怒りが新たなターゲットへと向かう。

 禍根を断つことは、できないまま……。


 真のような集団に馴染みにくい存在は、排斥され、暴力が向かいやすいのだろうなと思います。けれど、仮に異質な存在が全て排除されたなら、そこはどんな世界なのでしょう。

 均質な世界。自分は他人と同じ、他人も自分と同じ。

 そこに葛藤は無く、争いは生じないのかもしれません。

 けれどそれは、歪で異質な世界です。変化が生じないまま全ては停滞し、ゆるやかに破滅へと向かうのではないでしょうか。

 私たちは一人一人違う。だからこそ、分かることがある。できることがある。補い合うことで可能性が生まれ、新たな世界の扉を開く。

 目に見えない小さな生き物たちの共生の姿を見る度、そんな想いが込み上げます。


 

 ずっと一人でいられたら、というのは、昔私が願ったことでもありました。誰も傷つけず、傷つけられず。居心地の良い繭の中で。

 けれど……。


 繭を抜け出し、飛び立った世界で。

 真が彼なりのやり方で、この世界と関わっていくことを祈りたい。

 

 片隅の呟きにお付き合い頂き、ありがとうございました。

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