席替え
本当は、前半で終わって次回が後半のはずだったのですが。前半の後味の悪さに耐えられず、くっつけちゃいました。連載中の「鰆区役所物語」と交互に書いてるから、このまま1ヶ月放置するのが気の毒で……。
長くなってしまい、反省。
この先がまた、プロットが途切れ途切れでして、先が思いやられます。
席替えの話。これ、伝わりますかねぇ。
中学二年生の時。担任の方針で、席替えの度に先生が決めた班に移動してました。メンバーは決められてましたが、班の中でどこに座るかは話し合いで決めてました。
私はずっと、Kさんという女の子と同じ班でした。
同じ小学校だったKさん。周囲にうまく馴染めずにいた私にとって、いつも穏やかなKさんは安心できる存在でした。話しかければ、ニコニコと応えてくれました。
中学生になり、私の知らない一年間の間に、Kさんの状況は変わっていました。二年生の時に同じクラスになったら、Kさんはクラスの中で特別な存在になっていました。
私はKさんと一緒に過ごすようになりました。どこか、恩返しのような気持ちもあったかもしれません。
気付いたら、席替えの度、Kさんと一緒の班に決められていました。私とKさんのペアは、誰も何も言わぬまま、公認のものとなっていました。
組まされたことに気付いた時の、違和感。誰も何も言わないから、私も気づかぬ振りで笑っていた。Kさんも、ニコニコ笑っているように見えた。
でも本当は、どう思っていたのかな。
三年生になっても私とKさんは同じクラスで、私は言葉にできない違和感をもて余していたのですが。
中学を卒業して何年も経ってから、気付いたのです。違和感を押し退けた先、根底にあった気持ち。
他人は関係ない。私は、Kさんが好きだった。だから一緒にいたいと思った。自分がそう決めたのだった、と。
もっと早くに気付けたら。自分にも、Kさんにも、伝えられていたら。
今も時々思い出すKさんは、千津ちゃんのモデルの一人です。
担任から突然、廊下で呼び止められたのは実話。
もっとも、その時はKさんのことではなくて、「お前、いじめられてるのか」という言葉でしたが。
私は首を振りました。そもそも、誰が聞いているかも分からない廊下の真ん中で、それ以外の回答は無いように思いました。
担任は「そうか」と呟き、目をしばたかせて去っていきました。
私は唖然としました。もし私が首を縦に振ったら、どうするつもりだったんだろうともちらりと思いました。
一時期、一部の男子に揶揄されることはありました。けれど私が教室に溶け込めずにいたのは事実で、それを指摘する彼らがまるっきり間違っているとも思えなかったし、それを苛めと呼ぶのかも分かりませんでした。彼らをどうにかしてほしいと望むつもりも無かったし、先生が何かやって解決するとも思えませんでした。そもそも、解決って何だったんだろう。彼らが私に関わらなくなったとしても、私は自分の中の異質さに向き合い続けたでしょう。
日頃、「いじめの無いクラスにしたい」と語っていた先生でした。その気持ちに嘘は無かったのだと思います。けれど、席替えにしても何にしても、私は違和感を感じ続けていました。
どれだけ考えて班決めしたって、何かは起こる訳で。例えば、違う班にしたはずのいじめっこといじめられっこが、偶然近くの席になっちゃったり。
なんだかなぁ……と。
私は教育について専門に勉強してなくて、クラス運営とか分からないし、偉そうなこと言えないのですが。30人もの生徒を1人で抱える苦悩もあっただろうと、大人になった今は思います。
でも、大人が介入して一方的に解決する、というようなことじゃなかった気がするのです。当時の私が望んでいたのは。
真や千津ちゃんがなんだか辛そうな展開になってますが。個人的には、教室の中の異質な存在、ということを考えたいのですが。
書きながら、いじめの四層構造という話を思い出してました。
いじめは、加害者、被害者、観衆(囃し立てる者)、傍観者から成り立つ、という説です。石崎君、真、坂上君、泉、という感じでしょうか。
傍観者、というと無関心な感じがしますけど、実際には傍観者って、いろんなことを感じてるよなぁ、と。私自身の体験も含めて。
傍観者が鍵だ、という説でした。大多数を占める傍観者がどう動くかなのだ、と。
「やめろよ」と言えばいいじゃん、という人もいるでしょう。でも、私自身は言えなかった。今でも、言えるかどうか分からない。どうしたらいいんだろうなぁと考えながら、書いてる訳です。これは、傍観者の物語でもあるのかもしれません。
もう遠退いてしまった、あの頃。
この世界に生きる場所はあるのだろうかと、考えていたような気がするのです。この世界で生きる術を求めていたように思う。
その模索の果てに、今の私がいるのでしょう。
毎度のことながら、まとまらぬまま長くなりました。お付き合い頂き、ありがとうございます。
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