12話 十字架

星野富弘さんの「ドクダミ」の詩の補足。


お見舞いでもらった聖書を通して、星野富弘さんは「やさしい、イエス・キリストという人」と出会います。「重荷を負ったまま、わたしのもとにきなさい」と言ってもらえたようで、安らぎを覚えます。

そうした体験から、「白い十字架」をドクダミに見い出されたのだろうと思います。


千津ちゃんが語っているのは、私の記憶。

実際には、男性の先生で、弟さんでしたが。

余談ですが、大学生の時に、自閉症のこどものためのキャンプにボランティアとして参加したら、スタッフとして参加されてた先生に再会して、びっくりしました。先生から声かけてくださって。すごい記憶力!


障がい児のきょうだい、をテーマにした映画を大学の講義で観ました。残念ながら、タイトルは忘れてしまいましたが。

親はどうしても、障がいのある子に目が向く。そちらに手をかける。

きょうだい児は、様々な現実に出会う。

周囲の目。

結婚にあたって、きょうだいのことを相手にどう説明するか。葛藤。

でも、大事なきょうだいなんだ。


先生も、いろんな想いがあり、その先で教師を志したのだろうと思います。

先生が私たちに、伝えたかったこと。


今は障害ではなく障がいと表記しますが、あえて障害と書きました。


知的障がいの特別支援学級は各学校にあるのかなと思いますが、そこに通う同級生のことを、皆どう聞いてるのかな。

私が十代の時は特に説明はなくて、当時は何かひっかかりを感じつつも通りすぎてゆき、今になって「あの子はそうだったのかな」と思う。

だから、なんだか、障がいについて身近に感じることって、無かったなって。

その中で、特別支援学校のこども達に出会えたのは、今思うと貴重なことだったのかな。

残念ながら内容は覚えてないけど、先生は、その子達のことを私たちに前もって話してくれたのだと思うのです。彼らの世界を。


一緒に遊んで、楽しかった。

違和感は無くて、それだけ。


これを書いている時、精神保健福祉士を目指す友人と会いました。

障がいについて、彼女は「その人の中に害があるのではない。その人と、環境との間に差し障りがある。それを調整するんだ」と話していました。

環境。私たちが、その人をどう受けとめるかも含めて。


まとまらないんですが。

私が住む自治体では「障がい児保育」というものがあり、親が申請して認められれば、障がいを持つ子の個別支援のため、保育士の加配がつく制度があります。

私はいつも、その名称が気になるのです。

障がい児保育。なかよし保育、とかだと、ずいぶん現場の保育士さんも勧めやすいんじゃないかなと。その名称だけで、断る親もいるんじゃないかな……。

それは現実を直視していない、という人もいるかもしれないけど。

でも、障がいという言葉に対して、すごい壁があるのが現実。


例えば特別支援教育。中学までは学校に特別支援学級がありますが、高校は無い。大学も無い。義務教育じゃないから、かな。

特別支援学校には高等部がありますが、そこに当てはまらないこども達は放り出されてしまう。

そのルートに乗ることで、こどもの進路が閉ざされるんじゃないかって親の不安は、そりゃあそうだろうな……と思うことがある。

「世間は厳しいんだから、甘やかすわけにいかない」と、特別支援学級を拒否するお母さん、お父さんもいたりするけど。

それはある意味、切ない本音だとも思う。だって、社会に出た時にみんなが配慮されるわけじゃないから。本当に。

それを、「親の障がい受容ができてない」で切り捨てていいのかなって。

発達障がいの方の就職をサポートする機関はあるけれども。でも、そういう枠がある企業って、少ないよね。


なんだか、切り離された感じがする。


ほんとは、みんな一緒に生きていけたらいいんじゃないかなって。

今の学校では、社会では、難しいのは分かる。

でも、当たり前に一緒に育っていけば、本当に「みんな違って、みんないい」社会になっていかないかなって。


栗原類さんの「発達障害の僕が輝ける場所を見つけられた理由」という本がありました。一回しか読んでないからうろ覚えなんですが、海外と日本のやり方はだいぶ違う。

例えばアメリカでは、障がいのある子も地域の学校に通うのが第一選択肢。それは、障がいのある子もない子も、共に生活することでお互いを知り、将来一緒にやっていくスキルを身につけられるように。お互いに、メリットがあると考える。

それを支えるために、様々な専門家がチームとなって関わり、親も含めてその子の支援プランを考える。


日本には、そのための予算も、人材も、まだまだ不足しているのでしょうが。

外国のやり方をそのまま取り入れても、うまくいくかはわからないのでしょうけど。

でも、いいなぁって。

「窓際のトットちゃん」のトモエ学園も、障がいのある子もない子も一緒に学ぶ学校ですよね。


だんだん何を言いたかったか分からなくなってきましたが。

話を戻して。


特別支援学校から、帰りのバスに乗ったとき。

みんなが、手を振って見送ってくれました。

その姿をいつまでも、見つめていたクラスメイトの男の子がいました。

その子とは中学卒業後、会っていませんが、特別支援教育の教員を志したと、人づてに聞きました。


先生は、確かに架け橋になられたのでしょう。


カクヨムでも、彼らの世界を鮮やかに描いている方々がおられるのでしょうね。

私がとても好きな、彼らの優しい物語を綴っておられる書き手さんもいらっしゃるのですが、ここで書くのはどうかと思うので書きませんが、知りたい方はぜひ一言。近況に呟きに行きます。

もしオススメ作品ありましたら、教えて頂けるとうれしいです。


ささやかだけど。

私はもっと、違う世界を知りたい。

まずは知ることからなんじゃないかって、思う。


本編もですが、こちらも、考え考え書いていたら、とっちらかった上にだいぶ長くなってしまいました。

想いがあっても、どう伝えたらいいか分からなくて、もどかしい。

それでも読んで下さったあなたに、感謝です。

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。




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