10話 ボルボックス

ボルボックスは、いつものように行き当たりばったりですが。

うまく絡められたかなぁ…。


ボルボックスは、正の走光性を持ちます。


尚子の父親を出すためだけに設定した、三者面談。

自分の三者面談って、全然記憶に無い。

高校の時、会話に困った先生がいつも「姉ちゃん元気か」って、双子の姉について唐突に尋ねてきたことくらいしか覚えてない。

泉の母親が存在感なさすぎですが、母と娘の葛藤は、「もしも白雪姫が美しくなかったら」で散々やったから、もういいかなって…。


尚子も複数のモデルがいますが。

体育館のエピソードは、私の実体験。

吉本ばななさんの小説でもよく似たシーンがあったので、もしや捏造した記憶なのかとも思いましたが。

やっぱり、覚えているのです。

明るい体育館。

広がったスカートのひだ、彼女の笑い声。


昔、児童養護施設で、出会った男の子に言われたことがあります。

「僕は、どうしてここにいるの?」

私は言葉に詰まりました。

彼に掛ける言葉が無かった。


ひとり親は欠けてるとか、親がいないなんて可哀想だとか、そういうことではなく。

自分自身の物語を紡ぐ中で、自分の親、自分のルーツというのは、欠かせないものなのだと思います。


けれど、パズルのピースが、まったく見当たらないこともある。


それでも、親がいた、そして自分が産まれた、というのは揺るぎ無い事実なのだと思うのです。

母親がどんな気持ちで、お腹の中のあなたを抱えていたのかは分からない。

でも、彼女のからだが10ヶ月間あなたを守ったのは、少なくとも事実。

その延長に、あなたがいる。

今のあなたを、尊敬しているし、好きだと思う。


尚子に掛ける言葉を考えて、考えて、今の私がたどり着いたこと。


あの日のあなたに、伝えたかった。





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