エピローグ②:????
とあるオフィスビルの一角、人気の無いフロアの1室で数名の男女がテーブルを囲んでいた。
日当たりも良く、清潔で明るい部屋であるはずなのに、なぜか息苦しく閉塞感が充満している。
それは、部屋に集った人間達のいずれ劣らぬ歪み濁った性根から、瘴気が発せられる故のことだった。
「灰戸鋭介が性闘士に敗れたとのこと」
最初に口を開いたのは一座の相談役を務める【
腰のまがった年寄りらしく、穏やかな口ぶりだがその獣のごとき眼光は未だ衰えていない。
「でゅふふ、それがどうしたって言うの?所詮、あの人は人数合わせ。私たち“性欲解放戦線四天王”の中でも最弱でしょう。」
粘着質の笑みを浮かべながらそう言い切ったのは【腐海の女王・今鹿】
口の端からよだれが垂れているのは、今まさに性闘士に敗れ辱められる灰戸の姿をバリバリに妄想しているからだ。
仲間の敗北など、芯まで腐りきった彼女にすれば妄想のネタでしかない。
「ぶひ、ぶひひひひ、ぶひい。」
続いて【最低の豚・ブヒ公】が何かを言ったが、人語でなかったため誰にも理解できずにスルーされた。
ちなみに、九院麗華によって豚に落とされたハイ○ーサーとは何の関係もない豚である。
「ていうか、灰戸もその性闘士も成人してるんでしょ。興味ないわ。」
心底退屈そうなのは【前科2犯、生粋のショタコン・
スポーティなランニングウェアなのは、小学生男子の自由奔放な機動力に対応するためである。
なお、居住地域では有名人であり、小学校付近に出没するだけで通報される逸材だ。
「とは言え、我らに楯突く者たちを捨ておいては今後の障害となるでしょう。どうでしょうか。一言命じていただければ、私が始末して見せますが」
めがねをクィとあげながら言ったのは【サイキョウ痴漢電車の主・
一見、はげたサラリーマンだが、よくよく見てもはげたサラリーマンにしか見えない恐ろしい男だ。
視線の先には彼らの王、性欲解放戦線の首領【性器末覇王・
性器末覇王の口角がわずかに上がる。
「面白い。やってみろ。」
短い王の言葉を相談役・裸翁がまとめる。
「では、この件は地菅田に一任することとする。だが、他の者もターゲットが自身のテリトリーに踏み込んできたときは容赦なく叩き潰しなされ。」
「りょ~かい。でゅふふ」
「ぶひいい」
「はあ、しょうがないか」
「かしこまりました。吉報をお待ちください。」
四天王の残り4名がそれぞれに返答し、席を立つ。
打ち合わせの後にちょっと一杯
暗黒性闘士の間に親睦を深めるなどと言う言葉は存在しない。
ただ、各々にこじらせたはた迷惑な性癖があるだけである。
会議室はすぐさまがらんとした無人の空間に成り果て、後にはただ色濃い瘴気だけが残された。
なお、解散した後ですぐさまエレベーター待ちで顔を付き合わせる羽目になり、微妙に気まずい空気が流れるのもいつものことであった。
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