フライドチキン
夢美瑠瑠
フライドチキン
掌編小説・『フライドチキン』
私は、三田栖・黛沙(さんだす・たいさ)といって、
高校生の女の子なんですけどー、
「フライドチキン」が大好きなんです。♡
ああ、フライドチキン!
黄金色の香ばしい鶏肉の塊!
程よい大きさで、スパイスの利いた衣に包まれていて・・・最高だと思う。
私は4つ切りにしたレモンの果汁を三本指で絞って、
全体にたっぷり振りかけるのが好きです。
少しカサカサしていたチキンが、酸っぱいレモン汁まみれになって、
程よくふやけてツヤが出る。レモンのないチキンなんて・・・
クリープを入れないコーヒーみたいだ。(古すぎ)w
ちょっと舌なめずりをした後で、
骨を持って、口に近づける。
「ロースト」という言葉のオノマトペみたいな香りがして・・・
少し鼻にツンときて・・・で、次の瞬間に、大きな口を開けて、
前歯と奥歯、犬歯を総動員してローストチキンにかぶりつきます。
うーん、ジューシーな辛味・・・脂身と胡椒の味がないまぜになって・・・たまらない
美味しさが口の中一杯に拡がる。
衣は辛いんだけど、レモンの酸味で甘辛くなっている感じ。
中のチキンは温かくて、噛み応えのある柔らかいお肉。
噛みしめるにつけ、肉汁ジュワーで、舌が蕩(とろ)けそうになります(^^♪
お肉ならではの、人類一般の一番の大好物の、唯一無二の絶妙な旨味。
この味を知ってしまうともう仏教徒にはなれないなーとか思う。
しばらく、フライドチキンの美味しさ以外のことは何も考えられなくなって・・・
気が付くともう赤っぽい骨に鶏肉の欠片がところどころ残っているだけになっている。
でも大丈夫。
まだまだ食べ始めたばかりで、フライドチキンはまだたくさんあるのだー。うふふ。
この時の安心感がたまりません。
・・・ ・・・
鶏の骨だけがたくさん積み重なっている横で、私はげっぷをします。
「おなか一杯・・・ああ、しあわせ♡ オオカミにでもなった気分ー」
・・・「ねえねえ、ママー、明日もケンタッキーにしない?」
<終>
フライドチキン 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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