31.アップデート内容の精査
さて、長時間メンテナンスも明けたその日。
学校から帰ったら
なお、学校は明日から
「……見た目は変わったところがないな。アップデートしただけで見た目が変わったら大変か」
ぱっと見、
次に、工房の店舗部分に行って
すると。
「うーん、確かに上限と下限の金額が設定されているな。これはいろいろめんどくさそうだ」
それから、ユニーク素材も出品できるようになっていたので、こちらも試してみた。
「……ユニーク素材はかなり高値じゃないと取引できないな。この金額ってNPCに引き取ってもらったときの値段じゃなかったかな」
ユニーク素材は一個一個の単価が高く、装備ひとつ分を揃えるにはかなりの金額が必要そうである。
ユニーク装備の出品は……一度使用したものは出品できないのか。
となると、新しく作って試してみるしかないようだな。
「ものは試しだ。汎用性の高いブレストプレートでも作ってみるか」
素材自体は赤妖精素材が余っている。
作製時間も調べたいし、一個作ってみるとしますか。
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「ふむ、ブレストプレート作製に必要な時間は一時間程度。アップデート前に比べると半分くらいか」
思い立って実行した結果、だいたいの作製時間は把握できた。
ブレストプレートとブロードソード、両方とも作製時間が半分ほどになっていた。
紅妖精装備にアップグレードする時間は試してみないとだけど、基本半減していると嬉しい。
「で、販売金額だけど……。まあ、素材があれだけ高値なんだし、武器も半端な金額じゃないよねぇ」
作った装備、どちらも数十万Gからしか設定できなくて、いっそ笑えた。
使った素材を考えれば、その金額+手間賃でちょうどいいのかもだけど、初心者が手を出せる値段ではないようだ。
「あとは、誰かから作製依頼を受けた場合だな。……誰か、ちょうどいい相手はいないかな?」
作製依頼は自分から自分に出すことはできない。
したがって、誰かに依頼を出してもらわなきゃなんだが……。
どこかに、素材持ち込みをしてくれるプレイヤーはいないかな?
「おーい、エイトのダンナ。いるかい」
作業部屋でひとり悩んでいると、店舗部分のほうから声がした。
この声は、ダンの声だ。
「ああ、いるぞ。どうしたんだ?」
作業部屋を出て店舗の入口を開ける。
そして、ダンを迎え入れた。
「ああ、ダンナ。今日のアップデート内容は確認済みか?」
「大半は確認してるよ。いま、生産回りを確認していたところだ」
「それなら丁度よかった。俺からの作製依頼を受けてもらえないか?」
……確かにタイミングがいい。
狙ってたのではないかと疑いたくなるほどに。
「構わないぞ。それで、作ってほしいのはなんだ?」
「赤妖精の装備を紅幻竜の装備にグレードアップしてもらえるか?」
うん、本当にちょうどいい。
しかし、気になる単語が出てきたな。
「赤妖精装備のグレードアップは構わないけど……紅幻竜ってなんだ?」
赤妖精のアップグレードは紅妖精のはずだけど。
新しいモンスターでも追加されたのか?
「ああ、そこまで読んでなかったんだな。フランジャだけど、紅妖精から紅幻竜に名前が変わったんだよ。だから、いまは紅妖精装備じゃなく紅幻竜装備なんだよな」
「……なるほど、把握した」
自分の持っている装備を確認したが、確かに紅玉妖精から紅玉幻竜に名前が変わっている。
普段は生産用の装備しか身につけていないから、戦闘用装備を確認するのを忘れてた。
「それで、いつくらいまでにできそうなんだい?」
「そうだな……今回のアップデートでどのくらい時間が短縮されたかわからないし、明日の受け取りでいいか?」
「オッケーだ。それじゃあ、素材を渡すぜ。手間賃はどれだけ払えばいい? いまはかなりの金額で請け負ってるんだろ?」
「それなんだが、とりあえず現金の受け渡しなしでできるか確認してもいいか? アップデートで素材の受け渡しや装備の販売に金額制限ができてるから、素材持ち込みの生産にも制限がかかっているか試したい」
「了解だ、ダンナ。引き取るときに下限額が設定されてても、十分に支払える現金を持ってるから気にしないでくれ」
そういうダンから素材一式を受け取る。
このときには現金の受け渡しの必要はなかった。
「それじゃ、ダンナ。よろしくな」
「ああ、できたらいつも通り連絡するよ」
帰っていくダンを見送り、依頼の作業に入る。
……作業を始めようとしたところで、晩ご飯の時間が近いことに気がついた。
一旦ログアウトして、続きは寝る支度をしてからにしよう。
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さて、寝る支度も調えて夜のログイン。
晩ご飯にはギリギリ間に合ったが、もう少し余裕を持てと怒られてしまった。
生産が楽しいので、つい時間を忘れてしまうんだよな。
「さて、紅幻竜……だったか? それへの強化作業時間は……一時間半くらいか。やっぱり半分程度だな」
ダンから頼まれていた作業をこなしていたが、やはり作業時間はアップデート前の半分ほどだった。
短い時間でたくさんの装備を作れるようになったのは嬉しい。
なにより、スキルトレーニングがスイスイ進む。
なお、当然のことながら
「鍛冶レベル50のトレーニング内容に『ユニーク装備の作製』が出てきたからな。可能な範囲でユニーク装備の生産も請け負わないと」
幸い、必要になる作製数は少ないので、若様に言って仕事を回してもらえばすぐだろう。
そうと決まれば、若様に連絡……と、メールが届いたな。
それも若様から。
「なんてタイミングのいい。……なになに『ヘファイストス、全員集合。場所はメールの通り』……なんだこりゃ?」
若様から届いた全員集合の呼び出しメール。
さすがに無視するわけにもいかないし、指定の場所に向かおう。
場所は……ゼータサーバーの集会所?
ゼータサーバーなんてあったっけ。
ともかく、ゲートから移動してみよう。
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