遠足は準備している時が一番楽しい
今後必要なものをお互いに出し合ってみた。
探索を繰り返すうちにまた色々足りない物に気づいて増えるだろうが、優先順位をつけてまずはこれらを集めていこう。
最初はリングに関わるもの。
・《マッピング》パーツか《ワープポータル》パーツ
・《インターネット接続》パーツ
・浅層のモンスター図鑑のアクセスキー
・《相場チェッカー》アプリ
・《罠探知》パーツ
・開錠指南書のアクセスキー
・他の探索者の探索記録
「あるじよ、昨日ジャンク屋で提案したリングの改造は、ダンジョン探索中に弄ってみたところ可能なようだ。
魔法機構は弄れるので少し故障したパーツでも直して組み込むことができるし、材料さえあれば我のリングに搭載したパーツと同じものを作ってあるじのリングに搭載することもできる。
だが、機械機構はよく分からないのでそのまま接なぐだけとなる。
あるじは高いと反対したが、我のリングを拡張性の高いものにしておいてよかったな。」
幸先のいい知らせだ。これで出費を少し抑えれる。
ただカトリーヌのリングについては言い訳させてもらいたい。
ダンジョンに1回入るだけで残金が1万マナを切るようなギャンブルはしたくなかった。カトリーヌとは初めての探索で、お互いのことは知ってることの方が少なく、探索失敗する可能性も十分あった。2,3回探索に行けるぐらいの余裕を持たせるべきだったと私は今でも思う。
《マッピング》は最優先事項。今回は運よく帰れたがこの運が続くと楽観視することはできない。
《ワープポータル》は先の話過ぎるから無視。
ただ、どこかの組織に固定ポータルを使わせてもらい、ダンジョンの途中から探索できるように何とか交渉できないかな?
固定ポータルの周囲で獲れるモンスターは独占して相場を作りあげているだろうし、なかなか許可は下りにくいだろうな。
よくよく考えてみると、こんな高価なものを組織はどうやって用意しているんだろう?我々非人が100人集まったところで手の届くようなものではない。
スラムから市民に上がることを上級市民は推奨しており、今の環境を維持するように働きかけているという噂は本当だったのもしれないな。
畑で収穫すれば我々より上等な人間なんて簡単に採れるし、蟻ほども気にかけてないと思っていた。
これなら組織共もカトリーヌの強さを知れば、バランスさえ崩さなければ静観してくれるかもしれない。
《インターネット》これも繋げてなければ使えない機能あるから必須に近い。金がなかったとは言え、今までこういった機能なしでよくやってこれたな。
図鑑は流石に浅層全部を買う余裕はないが、絞って買うにしてもどこを探索するか探索するまで分からないんだよな。
ここは少し強力なアンテナを買ってネット接続し、少し割高になるがダンジョンからアクセスするのもありだな。
何か困った時にその場で即対処法を調べれるのはいい。
今の積載量だとマナ結晶がメインの金策手段だから、《相場チェッカー》は荷車とかを買えるようになってからかな。
《罠探知》か。まさか罠を踏み倒して進んでいくとはな。昨日の探索で一番思い出したくないシーンだ。
できれば買いたいけどこれ結構なお値段するんだよな。そして買ったとしてもあの状態の自分でも使えると自信を持っては言えないのが情けない。
高いのは罠を探すセンサー部分だから、掛かりたくない転移罠や即死級の罠探知だけ買って安く済ませるのも無理か。
「あるじよ、プニルの顕現レベルを上げれば罠を探知することもできるぞ。
ただし、触媒として毎回20万マナほど使わせてもらう。」
嬉しい情報だが、暴走状態の私は大人しく乗らないもんな。
そして20万か昨日の探索の約1/3が消えるのは厳しい。
それでも今の探索方法だとカトリーヌの回復が間に合わない傷を負いそうだから何らかの対処はしなくては。
《罠探知》パーツは保留。
探索記録は自分とは違う探索方法やダンジョンの様子など得るものは多いと思うが、まずはどこに潜るかが分からないのと、我々の探索方法が特殊なので他の人が買うのに比べて参考になる部分が少ないから少し損な気がするな。
リングはこんなもので次は私の強化について考えよう。
・《セフィロトの樹》の解放
・人体改造
・因子注入
・戦闘技術記憶インストール
素の人間のままではかつての人類がそうであったように、いくら鍛えたところでほとんどのモンスターどころか、ただの動物にすら負けてしまう。
それ故、非人のままで終わりたくない、上に行きたい人間はみんな必死に金を貯め、何らかの強化を施している。
私はカトリーヌの魔法で強化されるとはいえ、それでも非人と三等市民の壁は越えられない。故に私も強化は必須だし、どうせするならなるべく早い方がいい。
カトリーヌとの契約によりいくつかの強化方法を取れないので、今思いつくのはこの4つ。《セフィロトの樹》以外は定着のために長期間の睡眠を必要とするから、《大発生》が近い今《セフィロトの樹》の解放を目指すべきか。
手数料の少なく信頼性の高い仲介屋を探さないといけないな。
「あるじよ、魔法のことなら任せておけ。その程度の儀式、我が執り行ってやろう。」
何者かに誘導されているかのような都合のよさ。カトリーヌを召喚したことでどこぞの運命神の興味でも引いたか?いやカトリーヌを召喚するところからか。
「それは助かる。何が必要です?」
「マナが200万ほどと、我への感謝の印として一週間の甘未を所望する。」
以前聞いていた儀式の相場よりもずいぶん安い。やはりこういったものはぼったくりなのか、世知辛い。
「それもあるが、我の魔法の腕とは歴然たる差があるから大量のマナを儀式で消費するのであろう。
非人や三等市民の腕を見た限り、あるじの言う上級市民とやらでも我には勝てぬであろう。」
昨日の探索はやはり大した力を出してなかったのか。
しかしそれなら、カトリーヌの契約者として釣り合うようになるには、一体どれほど強くならなければならいのか。
三等市民なんて単なる通過点ぐらいの気持ちで頑張らなければな。
「ところであるじよ、《大発生》とは何ぞや。」
「ええっとですね、ダンジョンだけではなく街の周囲にもモンスターがいるのですが、こいつらにはマナ結晶がないことも多いのです。そのため探索者はダンジョンでモンスターを倒し、ほとんどの人間は街の周囲にあるスラムから出ないのです。
ところが五年に一度突如地上にモンスターが大量発生して、群れを成して街めがけて襲ってくるそれが《大発生》です。
その時のモンスターは何故か全員マナ結晶を持っているのでダンジョンに新たな入口が出来たとも言われていますが、《大発生》が終わった後の調査で入口が見つかったという話は聞きませんし、詳しいことは分かっていません。
そして発生すると、スラム街の探索者全員に迎撃強制参加命令が発令し、これで大体2-3割の人間が死にます。
終盤になるまで三等市民の探索者の参加は許可されないので、スラムの人間を減らすのも上からの指示なんでしょうね。
こんな感じのことが恐らくあと1ヶ月で起きる感じですね。」
「なるほどな。それならばあるじはそれまでに強くならなければならぬな。
ちなみにあるじは前回はどうしておったのだ?」
「ああ、私は探索者になって3年なのでまだ見たことなくて全部伝聞ですね。
さて、そろそろいい時間ですね。まだ話し合いたいことも残ってますが、急ぐものはカトリーヌの日用品ぐらいなのでまた明日にしますか。」
その他
・自動追尾式の荷車や浮遊箱
・情報屋で現在のスラム情勢とあいさつ回りのマナー
・三等市民権
・武器防具
・ダンジョンに持ち込む調理器具
・来月の家賃
・ベッド、日用品
「それではおやすみなさい、カトリーヌ。」
「おやすみ、あるじよ。」
気絶せずに眠れるっていいな。
何だかんだで毎日一緒のベッドに寝ている。
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