第2話 決意

〜決意〜



1人残された部屋でカチカチと時計の針が動く音だけが静かに響く。

妙な寂しさと悲しさと苛立ちで胸が締め付けられて苦しい。

ふと、机の上に置いてある鏡に自分の顔が写り

嫌気がさす。

恵美は、目がぱっちり二重で鼻も高く、笑った時に見える八重歯がとても可愛い女の子だ。

少し茶髪で髪の長さは胸まであり、緩く巻いてあるカールはさらに彼女の可愛さを引き立てている。

それに対して私は、生まれた時から一重で団子鼻、歯並びも悪くて、肩まである短めの髪の毛はあまり手入れ出来ていないので、一度も染めたことがないのに傷んでいる。

恵美と一緒に並んでいると時々、周りの人達から

お前はどうせ、引き立て役だと言われる。

でも、その度に彼女は私なんかの為に、本気で

そいつらのことを怒ってくれた。本気で私のことを心配してくれた。

''琴葉は私の大事な友達。可愛くて私が大好きな子。"

そう言ってくれた時は心の底から嬉しかった。


あぁ、どうして、私は女なんだろう。

ずっと、こんなに近くにいるのに。

誰よりも大切にしているのに。

こんなに愛してるのに。

あいつよりも私の方が幸せに出来るのに。

あいつはどうせ、恵美を傷つけるだけだよ?

尚先輩が女好きってこと知ってるでしょ?

何人もあいつに泣かされてきたんだから。

悔しい。憎い。

他の誰を傷つけてもどうでもいい。

でも、私の1番大切なものに汚い手で触れることは

絶対に許さないから。


私はあることを心に決め、

その日が来るのをじっと我慢することにした。

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