case1 一ノ瀬舞の場合

「随分早かったじゃあないか。電話してから数分も経ってない。余程このお兄さんが大事と見たねぇ。」


アズミはそう言って俺の背中を踏みつけた。あまり痛くはないが精神ダメージが割とある。

俺にその手の性癖は無いようだ。


「……今すぐその足をどけて。」


舞の声は底冷えするほど冷たく、その眼光は氷柱の様に鋭く、アズミを見据える。


「ハッハハ、安心しなよお前が来た時点でお兄さんは用済み…いや待てよ?」


アズミはふと思案した後、足を下ろす。圧力が消えて安堵した、その直後に。


「せっかくだから盛り上げるかァ!」


「ッグホオぁ!?」


腹部に衝撃。蹴り上げられ、重力が失せる。視界が180度回転し、胃の中から酸っぱいものが込み上げる。同時に、両手を引っ張られる感覚、というより引きちぎられる様な衝撃が走る。


「磔に処すゥ!!ハハハ良いねぇまるで聖者だねぇ宗教開いちゃうかァ!?」


気づいた時には俺は宙に吊るされ、十字架の様に両手を鎖で縛られていた。


「兄さん!!」


舞の声に応える余裕は無い。

なんとかリバースするのは耐えられたが、縛られた手足が締め付けられて軋む。


「まーたアズミの悪い癖が。煽り過ぎると痛い目見るよー。」

「ハハハ良いだろ別に、これがボスのお望みなんだし。さぁて始めようか。あんたが負ければお兄さんは死ぬ。簡単な話だ、やる気出るだろ?」


アズミは楽しそうに笑い、指を鳴らした。

瞬間、彼女の袖や裾の鎖が動き出す。


「さぁさお立ち会い!今宵の演目は兄妹を引き裂く無情なる黒縄!」


鎖はまるで蛇の様にうねり、這い、宙を走る。

歌舞伎の様に大見栄を切るアズミの手の動きに合わせ、鎖が乱舞し壁や床に突き刺さる。


「青き流星を捕らえて喰らうは鎖の臥龍!」


倉庫の中を次々に黒い線が走り出す。空間を裁断する様に、鎖がどんどん湧き出す。

それはまるで蜘蛛の巣。黒光りする鋼鉄の色が倉庫内を埋め尽くす。


「準備万端!細工は流々!後は仕上げをごろうじろ!」


そしてアズミの両腕にも鎖が巻きつき、アーマーの様に纏う。重さを感じている様子は無く、軽々とステップを踏む。


「スケアクロウが特攻隊長、『鎖の魔女』臥龍アズミ!いざ、いざいざいざ尋常にィ!!」


空気がひりつく。張り詰められた弓の様に、両者が激突の瞬間に備える。

舞がゆっくりと両手を構え、膝を曲げたその瞬間。


「ーーーッッフ!」

「勝負ッ!!」


衝撃音。

空気の爆ぜる音が体を叩く。


「んなっ……なんだその動き……!」


俺は思わず目を剥いた。

青い残像を残し、舞はアズミの左側面から蹴りを見舞っていた。文字通り瞬く間に。目を離したつもりはない。ビデオのコマ回しの様に、舞のスタートと激突の間が飛んでいた。


「やっぱ速いねぇ前よりも更に。」

「ッチ、中にも……!」


アズミの脇腹に舞の足が突き刺さっている。

だが、ダメージを受けている様子はない。どうやらローブ内部にも鎖を巻いてガードしているようだ。


「そらこっちの番だァ!」


アズミが右手を振るとまたもや鎖が飛び出し、舞へ突き進む。

舞は軽々と跳んで躱すが、


「っく、邪魔……!」


空中の鎖に干渉し、動きが鈍る。そこを狙う様に鎖が飛び出す。そしてその鎖は固定され、更に空間の密度が増す。


「どうだびびったか恐れたか驚愕したかァ!?3ヶ月前お前に負けてから無い知恵絞って考え抜いた対一ノ瀬舞用必殺結界!『ジェイルインヘルノ88式』ィ!!存分に堪能しろクソガキィ!!」


鎖が舞い踊り、どんどん倉庫内を埋め尽くしていく。舞は鎖を足場にして飛び回っているが、速度が段々と落ちていく。下手に速度を上げると鎖が邪魔になる。アズミの周囲は一層鎖の密度が高く、接近も容易ではない。


「こいつは……ヤバイな。」


これではジリ貧だ。

恐らく舞の能力は高速移動。天井ぶち破ってきたのを考えると多分飛行も出来るんだろう。だがこの空間はそれを許さない。明らかに対策メタってきている。人質おれがいるせいで場所を変えることもできない。


「せめてあの鎖さえ破壊できれば…」

「ンッフフフそう簡単にはいかんよ。アズミの鎖は特別性でね。強固なルーンによる強化が為されている。流石は鎖の魔女と言ったところだ。」

「ッチ、そうか。随分対策を練ってるんだな…」

「フフ、あの敗北からアズミは随分変わった。稚拙ではあるが、策というものを練る様になった。これまでの突撃一辺倒の脳筋イノシシから大きな進歩だ。彼女には感謝しているよ。」


……

こいつ誰だ……?


いつの間にか男が独り言に入り込んできた。

ボロボロのマントを羽織り埃のかぶった三角帽を被り、顔には傷だらけのカボチャのマスク。そして足にはピエロが履いてる様なやたら尖った靴。

ハロウィンの駅前から出てきた様な男だった。


「おっと失礼挨拶が遅れたね。私はスケアクロウ斎藤という。」

「あっどうも…」

「あ!今変な名前って思ったか?思っただろう!?初対面の人間の名前をバカにするのは大変失礼とても失礼非常に失礼!日本人は奥ゆかしく礼儀正しいと評判だったのにとんだ期待外れだねぇミーンもそう思うだ」

「うっさいボス今いいとこだから黙ってて」


座ったままのミーンの回転蹴りが斎藤の脛に直撃した。


「ハァアオッ!!?」


倒れ伏して脛を抱えてビクンビクン痙攣する。

なんだこいつ。


「オッフ……ミーンは非戦闘員の筈だったのに……随分良い足持ってるじゃあないか……」

「何しにきたんだお前。ボスってつまり、こいつらの上司って事か?」


尋ねると、斎藤は痙攣を止めてすっくと立ち上がった。


「ンンその通り。魔術結社スケアクロウの創始者にして首魁がこの私。何しにきた、という問いにはこう答えよう、『研究』である。」

「研究だぁ?女の子達を闘わせるのがか?随分趣味の悪い話だクソ食らえ地獄に落ちろ。」

「ンッフフフフまともな倫理観をお持ちの様だ。ならば逆に問おう、彼女達が「普通の女の子」に見えるかね?」

「……ッ。」


息が詰まる。

俺の目の前の光景は否応なく突きつける。

残像が見える速さで重力など無いかの様に飛び回る妹の姿。

明らかに常軌を逸した挙動。

ベッドの中の舞とは比べることも出来ない。


「あいも変わらず素晴らしい速度。青い流星の名は伊達では無いな、一ノ瀬舞。」

「お前、舞の何を知っている。」

「何、とは随分抽象的だな。だが少なくとも君よりは知っているともンッフフフフ。」


斎藤は笑いながら語り出す。


「一ノ瀬舞!国際魔術機構IMOの魔法少女科に所属する魔法少女!13歳!」


「国際…魔術機構だぁ?」


「通名は『青い流星』(ブルースター)!覚醒は1年前!即時協会に保護され、以降は現場エージェントとして最前線に立つ!」」


1年前……

そうだ、ちょうどその時に病院が変わったんだ。

舞の病気を研究したいってどこかの大学だか研究機関だかが言ってきて、入院費も全額負担すると。

……今思えばなんで俺はその話を二つ返事で受けたんだ?

確かに良い話ではあった。

だからといって聞いたこともない様な組織から妹の病気を研究させて下さい、金も払いますなんて話を信用したのか?

そしてその組織の事をろくに調べず今の今まで忘れてた?流石に無いだろどんだけ脳天気だ。

……これも魔術ってやつか?


「ンン、さて本題にして君の知りたいであろうメインテーマに移ろう。魔法少女とはなんなのか?一ノ瀬舞は一体何者なのか?」


斎藤は実に勿体つけて言った。


「魔法少女とは、魔法を使う少女の事だ。」


「……おい。」


馬鹿にしてんのか?


「真面目な話だ一般人。そも、魔法とは?魔術協会の定義ではこうだ、『理論が成立しない超常の現象』。理論理屈が通るものは魔術、呪術、占星術、その他諸々。」


斎藤はアズミを指差す。


「今アズミが用いているのは何の事はない、単なる操作と格納の魔術だ。服の内部に大量に仕込んだ鎖を操って撃ち出しているに過ぎない。」


周囲に鎖の結界を張り続けるアズミ。舞も散発的に攻撃を仕掛けてはいるが、鎖に阻まれて有効打が撃てない。


「だがその過程で演算と術式の実行が必要になる。事前にある程度の省略ショートカットは可能だが、それでも戦闘中にこなすのは中々の難易度。ああいうインファイター魔術師が少ないのはそういう事だ。ああやって叫びながらも平行して術式を回している。実に冷静にね。」


一見して舞が圧倒的に不利に見える。だがアズミの顔には何筋か汗が流れている。彼女も消耗しているのか。対する舞は焦りの表情こそするものの、まだまだ余裕が有りそうだ。


「だがッ!魔法少女にはその必要はまったく無い!ただ感情のまま気の向くまま己の意思のまま!手足を動かす様に異能を振るう!」


突然興奮する斎藤。

早口で捲し立てるカカシにミーンも鬱陶しそうに目線を向け、またすぐ観戦に戻る。


「欠伸混じりに空を飛び、笑いながら火炎を撃ち出し、激昂しながら竜巻を起こす!魔力?術式?知った事か!そんなものは大人が作った勝手な理屈、わたしには関係ない!そんな身の程知らずの世間知らずが世の中の大多数の少女であり、それを実行してしまうのが魔法少女だ!」


「彼女達のエネルギー源は、感情、情動、意思の力!個人によって適した感情はあるが、概ね笑いや喜びが回復や強化などの正の力、怒りや絶望が破壊をもたらす負の力として現出しやすい。だが個人によって差が激し過ぎるのであまり参考にならん!だからこそ面白いのだがねンッフフフフ!」


「魔法少女は古来より歴史の表裏に存在した!時に革命を先導する乙女として!時に厄災を治める巫女として!時に混乱をもたらす傾国の姫として!人々の敵となり味方となり大いに力を振るった!魔女狩りという名の魔法少女狩りで大きく数を減らし!狂ったナチの実験体にされようとも!21世期の現代に至るまで生まれ続けている!ンッフフフフフ素晴らしい!研究は終わらない!彼女達に我が生涯を捧げようンッフフフフ!」


ひとしきり笑った後、ぐるりと首を回して俺の顔を見る。

仮面の奥の眼がギラギラと燃えている。


「さて一ノ瀬翔君。君は彼女の感情を燃やす薪だ。せいぜい泣いて叫んで彼女に助けを求めると良い。その方が彼女も張り切るだろう。」


成る程。大体の事情は掴んだ。


「つまりお前は舞の本気が知りたくて、それで俺を拉致らせたって事でいいのか。」


「ンン理解が早くて結構。」


「クソ野郎が。」


唾と罵倒を吐き捨てる。


「ンッフフフこれでも人道的だと思うのだがね。別の組織、例えば極星の会とかなら君の生首を彼女に送りつけてる所だ。流石の私もそこまではしない。」


「そんな事知るか。俺の妹にあんな顔させた時点で即有罪で懲役300年だ。」


あんな焦燥に満ちた顔、見た事も無いし見たくなかった。

舞は笑顔が一番綺麗で可愛くて素敵なんだ。

病室でたわいも無い話をしながら笑い合う時間が、暗い生活の中での数少ない楽しみだった。


両親は子供の頃に事故で死んだ。

俺は16歳で、舞は7歳だった。その時にはすでに、舞は入院生活だった。

遺産は多少残ったが、舞の入院費でみるみる減っていった。

学生時代はひたすらバイトして入院費に充てた。

ひたすら勉強して、そこそこいい大学に入ってそこそこの仕事に就いた。

入院費を気にしなくて良くなってからは、いつ舞が治っても学校に行けるように学費の貯金も始めた。

こうしてみると、俺の人生って舞の為だけにあるみたいだな。だがそれで構わない。

兄ってのは妹に尽くすもんだ。

間違っても、こいつみたいな変態の欲望を満たすための存在じゃあない。


「少女というものの変化は実に目まぐるしい。もはや彼女は君の知っているか弱い妹では無い。裏社会に名を轟かす、一騎当千の超人なのだよ。」


知った事か。

どんな力を持っていようが、どんな組織を潰していようが、どんな通り名で呼ばれていようが、舞である事に変わりは無い。


ーーーだが。

舞もそう思っているのか?


「……おい、斎藤。」


確かめなければならない。

そして、勘違いしているなら正さなければならない。

伝えたい事もある。

それに、こいつが言うように魔法少女が感情で強くなるなら。

舞の援護にもなる筈だ。


「戦いを止めて舞と話させろ。5分もかからない。」


俺の提案を聞いて斎藤は肩を竦めた。


「一体何のつもりかね?」

「お前は舞の本気が見たいんじゃないのか」

「ほう?今の彼女は本調子じゃないと?」

「あれが絶好調の顔に見えるなら目を変えてこい。」


斎藤はしばし舞を観察し、首を傾げる。


「……ンン、確かに怒りよりも焦燥が勝っている様に見える。だが何にだ?別に時間制限を設けている訳でも無し、焦る理由は…」


「俺には分かる。そして、それを解消できる。」


「ほう?」


斎藤の声色が変わった。興味と期待の声。


「彼女の本気を引き出せると?」


「ああそうだ。だから一旦タイムさせろって言っている。あといい加減この鎖解け。」


斎藤は少し考え、頷いた。


「良いだろう。好きに話すと良い。だが鎖はそのままだ。」


そう言って、斎藤はマントの中から何かを取り出した。


「……おいなんだそれ。」

「見て分からんのかね?メガホンだ。」


いや、それは知っているんだが…

いきなり普通の道具が出てきて困惑したというか…

斎藤はメガホンを構えて、息をめい一杯吸い込み。


「ストォオオオオオオオップ!!」


「えっ?」

「アァんッ!?」

「うるさッ!!」


3人の少女が一斉に斎藤を見た。


「タイムだアズミ。彼がどうしても彼女と話したいそうでね。5分程度のインターバルだ。」


それを聞いてアズミは全力で眉をしかめた。


「ハァ!?何言ってんだボス!今いいとこなんだってのに、」

「アズミ。」


アズミの文句は斎藤の有無を言わせぬ声にかき消された。

アズミは息を詰まらせ、不機嫌そうに座り込んだ。


「ぐッ……しゃあねえ5分だけだぞ!」


よし。ここからが正念場だ。

先ほどまでは蹴られた腹に力を込めながら、舞を見据える。

舞は気まずそうに、俯いていた。



「舞!聞きたいことがある!」


「……っ、な、何?兄さん…」


「お前の病気はもう治ってるってことでいいんだよな?」


「う、うん……ごめんなさい。秘密にしないと兄さんが巻き込まれてしまうからって……」


「そうか。まぁ結局巻き込まれたけどなハハハ。」


「……っご、ごめん、なさい…!私、今までずっと兄さんを騙して……!」


「気にすんな、その、なんとか機構の指示だったんだろ?お前に悪気がないのはわかってる。だからさ、ちゃんと俺の目を見てくれないか。」


「……っ。」


舞は一瞬だけこちらを見て、すぐに目を逸らした。


「……そっか。分かるよ。見れないって事は、見られたくないって事だよな。」


舞は俯き、肩を震わせる。

俺にも経験がある。幼い頃に家の花瓶を割った時、母親の顔を見ることが出来なかった。

罪悪感と責められる恐怖によって、視線を上げる事が出来なかった。

今の舞は、あの時の俺だ。


「なんとなく察しは付くよ。さっきまでの舞は、まぁ、普通じゃあなかったもんな。」


髪に隠れて顔は見えないが、動揺と恐怖が伝わってくる。

俺にとっては、舞が何者だろうとどうだって良い。仮に舞が何十人と殺していようが、大事な妹であることには変わりない。俺にとってはその何十人より舞の方が重い。

だが。舞はそう思ってないんだろう。


「魔法少女だっけ?すげえよな、あんだけの速さで動き回って、更に空も飛べるんだろ?ていうかお前病院から飛んできたんだよな?すっげぇ速いな何キロ出るんだ?いやぁ魔法少女ってフリフリの服に魔法のステッキって相場が決まってるからさぁ。その服って舞の趣味なのか?もしそうなら後で話し合う必要があると……まぁそんな事は良い。」


舞へ向けて声を張る。ここからだ。

あの子の心に直接ぶつけろ。本心を。


「舞!確かにお前は普通じゃない。普通の奴は空飛べないし残像作りながら走れないしな。そこはもう認めざるを得ない!」


確かにお前は超人なんだろう。俺の手では届かないところにいるのかもしれない。


「正直言うと若干引いた!俺の妹は一体何者なんだと思った!」


アズミの様な野蛮な奴やこのカボチャマスクの様な狂人みたいな奴と同じ存在なのかもしれない。


「でも!それよりも何よりも!大事なことがある!」


だがそんな事はどうだって良い。

何よりも重要なのは。


「お前が!こうして元気に立っているって事だ!」


舞の顔が、上がった。


「……えっ?」


やっとこっちを見てくれたな。

ごめんな、そんな顔をさせて。


「小さな頃からずっと病院で入院生活だった妹が

!治る見込みもない筈だった妹が!今!元気に走り回ってんだ!こんなに嬉しいことがあるかよ!!」


おかしいな、これは間違いなく本心の筈なのに。なぜ涙が流れる?


「それに比べりゃ魔法少女だぁ魔術協会だぁ?小せぇ小せぇどうでも良い!」


滲んで舞の顔が見えなくなってきた。

クソ、この鎖さえ無ければ拭えるのに。


「お前が今まで出来なかった事も出来る!学校にも行けるし動物園にも行けるし水族館にも遊園地にも行ける!服買いに行ったり飯食いに行ったりカラオケだの映画だのも行ける!今まで出来なかった『普通』がこれから沢山出来るんだ!」


舞はどんな顔をしている?できることなら笑ってくれ。

お前の笑顔は世界一なんだ。


「ああそうだお前は普通じゃなかった!だからこれから普通になるんだ!普通の奴がしていた事をこれからまとめて体験しよう!安心しろ俺だって今言ったこと殆ど出来ちゃいない!バイトと勉強と仕事づくめだったしな!」


俺の今までの人生は全て舞の為に費やしてきた。


「仮にお前が化け物だろうと殺人犯だろうと俺は構わない。世界が敵でも俺はお前の味方だ。それが兄貴ってもんだろ?」


そしてこれからもそれは変わりない。


「帰ったら聞かせてくれ。お前が今まで何をしてきたか。魔法少女として、何を考え、何を成してきたのか。俺にも話したいことがいっぱいある。仕事の事とか友達の事とか好きなアニメの話とか漫画の話とかそういうどうでも良い事だ。今まで出来なかった話を思う存分しよう。」


舞の為ならなんだってするとも。


「だからさ。」


それが兄妹だろ?


「そんな奴さっさとぶっ倒して、帰ろうぜ。」


「……うんっ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る