私は私、秘密の私 viewリーネ
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クソ、ギルの奴期待させるようなことしやがって……
ギルにおっぱいを揉まれた私は恥ずかしくなり急いで家路についていた。
「まったく、いきなりおっぱい揉ませてくれとか言うか普通……」
自分以外誰もいない帰り道、ついつい独り言がこぼれてしまう。
今日は本当に忘れられない日になりそうだ……色々な意味で……
「しかも、勘違いしそうなことばかりしやがって……」
思い出すとイライラしてきたな‼
少し話がある、二人きりがいい、友人ではいられなくなる。
そんなこと言われたら勘違いするだろうがぁぁぁーーー‼
こんな住宅街で一人で叫ぶわけにはいかないので、ぐっと言葉を飲み込み心の中で思い切り叫ぶ。
少しだけイライラが解消したかもしれない。
なんかギルのことばかり考えている気がするな……まあ、いつものことだが。
「そういえば、あいつと仲良くなったのっていつからだっけ?」
ふとギルとの出会いを思い出してみる。
…………
あいつとの出会いはアルテナ魔法学園に入学してからだ。
私とギルは同じクラスだった。とは言え、初めて話したのは入学から1か月後くらいだったな……
入学当時、私ははっきり言ってクラスから浮いていた。
恐らく喧嘩で100人斬りしたとかいう中等部時代の噂が原因だろうな……
まあその噂は間違っているようで正しいんだが……
噂によってヤンキーとして恐れられ浮いていた私だが、クラスではもう一人浮いていた人物がいた。
それがギルだ。何故ギルが浮いていたのか……それはあいつが授業中はもちろん、休み時間もずっと本にかじりついて近づくなオーラを出しまくっていたからだ。
でも同じく浮いていたギルも入学から1か月もすれば友達もできたみたいで、ぼっちは私一人になった。
クラスで唯一のぼっちになった私はいつも通り一人でお昼に弁当食べていた。
すると突然話したこともないギルに話しかけられた。
「ちょっといいか」
「な、なに!」
急に話しかけられ軽くきょどってしまう。
そんな私を見て申し訳なく思ったのかギルが謝ってくる。
「ごめん、急に話しかけて」
「いや、大丈夫だけど……」
私がそう言うとギルは安心したように胸を撫で下す。
「そうかよかった。でさ、お願いがあるんだけど……俺に戦い方を教えてくれない?」
「は……?」
もはや困惑しかない。
初めて話す人に戦い方を教えてくれと言われたんだが……
もしかして、あの噂のせいか? 聞いてみるか……
「ねえ、それってあの噂に関係あるの……あるのか?」
「ああ、だって君強いんだろ」
…………
あの時からギルとよく話すようになったんだっけな……
いきなり戦い方を教えてくれとか生まれる時代を間違えてるよな。
そして必然的にギルの友人であったヨルンとも話すようになっていった。
でもヨルンの奴、私のことが嫌いなのか分からないが、たまに私がギルと話しているとこっちを睨んでるような気がするんだよな。
日によってはギルと話していても一緒に楽しく会話に参加するんだが……
気分屋なのか未だによく分からない。
「懐かしいなー」
私は昔のことを思い出し一人感傷に浸る。
あの時からどこか嫌いだった学園が楽しくなってきた気がする。
何気ない会話から始まったギルとの学園生活。私は救われてきたんだ。
「そんなギルから告白か……勘違いだったけど……」
でも、もし本当にそうなっていたら私はどうすれば……
私の物じゃないこの体で……
「ねえ、どう思う?」
聞いているんだろ……
誰もいない帰り道に私の独り言が木霊したような気がした。
曲がり角を曲がると、赤い屋根の建物が見えた
家が近づいてきたな……家路もそろそろ終盤だ。
私はいつものように魔法を使う。
「【
魔法を使うと身長が縮む。少し胸も軽くなったような気もする。
髪はポニーテールはそのままに、染めていた赤い髪が漆黒になる。
毎回思うがギルとお揃いの髪色なんだよな……
透き通るような黒色、寝癖のような天然パーマ。
見慣れたあいつの姿を想像し、繋がりが出来たようで少し心が躍る。
最後に鞄から取り出したメガネをかける。
そして、我が家のドアを開け帰宅する。
今日の私はこれで終わり、また私にならなくちゃ……
「ただいまー」
「あら、おかえり。今日は遅かったね」
帰宅のあいさつをすると、台所から母の声が聞こえた。
そんな母に私は答える。
「帰ろうとしたらさ、ちょっとリーネが忘れ物しちゃって」
秘密の私はいつまで続くのだろう……
底知れない不安が心を渦巻く……
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