きっと明日も…… viewヨルン
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おれはギルと別れ、ある人のお見舞いのため近くの病院へ向かっていた。
学園が終わったら必ず向かう、いつも通りの日常だ。
「ギル……リーネと一体何を話してたんだろな……」
ふと、今日の出来事が気になってしまう。
ギル……まるでリーネに告白するような口ぶりだったけど……まさかね。
魔法バカのギルに限ってそんなことはないと思う。
「でも何かギルの様子……おかしかったな」
よそよそしいというか、何か隠しているような感じだった。
まさか本当に告白だったのか‼
ギルがリーネに……
「でも……ありえない話では……ないもんな」
考えがまとまらない中、ふと空を見上げてみる。
もうすぐ日が沈みそうだった、少し急がないと。
おれは少しその足を早め、病院の中に入っていく。
「ふう……流石に焦ったな~」
目的の病室にたどり着きそこにあった椅子に座る。
ついつい安堵のため息が出てしまった。
「もうそろそろか……」
病室のベッドには山吹色の髪をした女の子が寝ている。
おれは女の子に近づいてその寝顔を見つめる。
まるで眠り姫のようだ……何度見ても不思議な光景だな……
そんなことを思っていると机に置いてある日記に目が行く。
懐かしいな……
おれは日記を手に取り最初のページをめくる。
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〇月×日
覚悟は決まった。
俺は悪魔にでも魂を売る。
光の世界を見せてあげるために。
近くに学園の入学案内がある。
手続きは済ませてある。入学式に出席してくれ。
何も気にせず、後は自由にして大丈夫だ。
最後に、日が沈む前にはこの場所に戻ってきてくれ。
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〇月×日
暗い闇から目が覚めた。久しぶりの感覚だよ。
何が何だか分からなかったけれど……
ありがとう‼
入学式行ってきたよ!
友達はまだ一人の出来てない……
でもきっと出来るよね!
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「ふふ、懐かしいな」
日記を読みながら、その懐かしさに思わず笑みがこぼれる。
最初はまったく何が起こったのか分からなかったな。
窓から外を見ると日はもう沈みかけている。
もう少し読んでみようかな……
おれはもう少し日記を読むことにした。
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〇月×日
初めての友達が出来た。
名前はギル。隣の席の男の子だよ。
最初見た時はなんだか近づくなオーラが凄かったよね……
でも話してみると結構面白いよ!
なんでも凄い魔法を使いたいから学年1位を目指してるんだって‼
きっと仲良くなれると思う。
明日は戦闘科目の授業が多いけど……
怪我はしないようにしないと……痛いから
――――――――――――――――
「これは、ギルと友達になった日か……そうだ!」
久しぶりに日記、書いて置こうかな。
なんとなく日記を読んでいたら今日のことを書きたくなり、日記を机に置きペンを探し手に取る。
「さて今日は書くことがいっぱいだ」
時間もないので急いで日記を手に取り記入する。
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〇月×日
今日から4年生。
学園生活も後1年……卒業できればだけど
今日はギルの様子がおかしかった。
昼はどうだったんだろ
……ギル、リーネに告白したのかな……
気になって寝れそうにないな……ジョークだよ……
私も普通だったらよかったな……
――――――――――――――――
「これでよし‼」
日記の記入が終わり、ペンを置く。
そして病室にある鏡を見る。
茶色の短髪にがっちりした体格……今の自分の姿だ。
「まったく……何もしなければ幸せ未来があったかもしれないのに……」
時間は残酷だ……
日が沈み、辺りを沈黙が支配する。
すると自分の体から光があふれ出し意識が遠のいていく……
「ごめんなヨルン、ありがとう」
また今日が終わる。次はあるのか誰にも分からない……
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