2章 眠れる乳 ヨルナ編

第12話 大人のお店

学園長からの呼び出しを受けてから数日後、俺は一大決心を胸にあるお店の前に来ていた。

もう普通の方法では課題をクリアすることが出来ないと思った俺はいわゆる大人のお店を頼ることに決めた。この国で成人は18歳から……問題はない。

あと、別に前から行きたかったとかではない……卒業のためだ、そう卒業のため。


「こうして見ると……普通だな」


店の外観は……普通のビルだ。何かの営業所と言っても不思議ではない。

夜になれば雰囲気が変わるんだろうな……

今はまだ昼間、この店はまだ開店はしていない。いわゆる下見だ。


「結局はプロに任せるのがいいんだ」


裏切りのユリア先輩などもう知らない。

あの後、何故逃げたのか問い詰めようと何度か部室を訪ねたが不在だった。

完全に俺から逃げてるよな……

何が乳神様だ、本物の乳神様はこうゆう所にいるんだよ。


「ふふふ……夜が楽しみだぜ」


これで思う存分揉み揉み出来るな……図鑑完成がはかどるぜ。

今日の夜に心躍らせていると突然背後から声をかけられる。


「あれ、ギルじゃん。なにしてんだ、こんな所で?」


声をかけられた方を見ると紙袋を抱えた我が友人ヨルンが立っていた。

まずい……俺が大人のお店に行こうとしているとこを見られた‼

いや、今はまだ昼間だ。ヨルンもこの普通のビルが大人のお店なんて思わないだろう。誤魔化すことは出来る‼


「やあ、ヨルン。奇遇だね」


「ああ奇遇だな。で、このおっぱい喫茶に用でもあるのか? まだ営業時間外だぞ」


ばれているな……ヨルンにおっぱい喫茶……

ってかこいつ俺が今まで大人のお店で言葉を濁してきたのにストレートにおっぱい喫茶とか言ってきたぞ‼ どんな神経してるんだよ。


「べ、べべべ別にー、おっぱいに興味あるとかじゃないから‼」


「……おっぱいに興味あるのか? 魔法バカだったあのギルが」



くっ、ダメだ……全て見抜かれている……

こうなったら下手に誤魔化すより開き直ってしまうか……

そう思い俺はヨルンの方に向き直り告げる。


「ああ、そうだ俺はおっぱいを揉まなければならないんだよ」


「そうなのか? まあギルも男だもんな」


あれ? なんか想像していたリアクションと違うな。

今までは殺されそうになったり、変態扱いされたりしてたのに……

俺がぽかーんとしていると、ヨルンは目の前で手を振り始める。


「おーい、どうしたんだ? ぼーっとして」


「あー……いやすまん、思ってたリアクションと違くて」


「どんなリアクションが来ると思ってたんだよ……」



ヨルンが呆れながら、言うと何か気が付いたように手を叩く。



「あ、そうだ。一つ言わなければならないことがあった」


「なんだ?」


「この店、お触り厳禁だぞ」


「……え?」


今なんて言った? お触り厳禁……だと?

それじゃあ図鑑の登録が出来ないのでは?


「いやいや、おっぱい喫茶なのにお触り厳禁だと⁉ 大人のお店なのにお触り厳禁だと⁉」


俺は慌ててヨルンに詰め寄る。

本当なら予定が大幅に狂ってしまうんだが……

すると、ヨルンは詰め寄る俺を引き離しながら言う。


「近い近い、ちょっと落ち着けって! お前そんなにおっぱいが揉みたかったのか」


「ああ、揉みたいね。俺の人生がかかっているんだからな!」


「いや、そんなにかよ……」


俺の必死さに、ヨルンが頭を搔きながら呆れている。

というか何故ヨルンはこのおっぱい喫茶がお触り厳禁だと知っているんだ?

……こいつ怪しいぞ


「なあ、ヨルン。なんでこの店がお触り厳禁だって知ってるんだ?」


俺は気になりヨルンに聞いてみた。

するとヨルンはあっけからんと答えた。


「え? 行ったことあるからだけど」


「なにぃぃぃぃ‼」


今シーズン一番の衝撃だ。

ヨルンの奴、俺より先に大人の店に行っていただと……


「俺に何も言わずに大人の階段上ろうとしたのか‼ 見損なったぜ」


「別にいいだろ、どこに行ったって……」


冷静に言葉を放つヨルン。

なんだろうな……話の熱量がだいぶ違う気がする。


「……よし。ならエロ本一つで手を打とう」


「いや、どんな流れでそういうことになったんだよ」


こうなったら前借りれなかった『濡れ濡れファンタジー』か『Hカップミヅキ、デビューします』を拝借してやる。そうしないと俺の気が収まらない。

理不尽なことを言っているのは分かっている、だがやらなければないらない時もある。


「さあ、おとなしく『濡れ濡れファンタジー』か『Hカップミヅキ、デビューします』をよこせ‼」


「……まて、何故その本を知っているんだ‼」


俺がエロ本の名前を出した途端、今まで冷静だったヨルンの雰囲気が変わった。

急にどうしたんだ? 


「知ってるも何も、この前自分で言ってたよな」


「自分で言っていた……いつだ」


ヨルンが真面目な顔で俺に聞いてくる。

さっきと熱量が逆転したな。


「卒業試験の課題が決まった日だよ。その日の夕方」


俺が質問に答えるとヨルンが顔を歪めて俯いてしまった。

本当にどうしたんだ?


「……くっ、しっかり隠したのに……どうやって見つけたんだあいつ……」


俯いたまま何かつぶやくヨルン。

何だか凄くショックを受けているみたいだ。

例えるならそうだな……親にエロ本が見つかってしまった時のような……

見るに堪えなくなった俺はヨルンに声をかけることにした。


「なあ、大丈夫か?」


「ああ、悪い今日は帰るよ……」


そう言うとヨルンはとぼとぼと歩き出した。

もはや声をかける雰囲気ではないな……


「さて、おっぱい揉むにはどうしたらいいのか……」


結局この店ではおっぱいが揉めないことが判明したんだが……

違うお店を探そうかな……



「……とりあえずリリアーヌ先生に相談してみるか……」


今日学園は休みだが、リリアーヌ先生は居るかな……

俺は相談のため学園に向かうことにした。


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おっぱい図鑑コンプリート‼~学年首席の俺だけど卒業するためには乳を揉まなければならない‼ 羽羽 ジョージ @arfu

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