第5話 友達におっぱい揉ませてと言ってみた結果

窓から外を見ると空はもう赤く染まっている。

もう夕方、かなり時間が経ってしまったみたいだな。

こんな時間まで気絶するくらいショックだったんだな俺……

おっぱい図鑑か……これからどうしよう……


そんなことを考えながら俺は教室に戻る。

静かだな……時間も時間なので皆いないようだ。

4年は授業が無いから、試験課題を聞いて帰ったのだろう。


俺も帰ろうか……

そう思い自分の机で帰り支度をしていると後ろから肩に手を置かれる。

びっくりして振り向くとそこには我が友人のヨルンがいた。


「おー、随分遅かったなギル」


「まあ……色々あって遅くなった。待っててくれたのか」


「いや待ってないぞ、で卒業試験の課題は何だった?」


「うっ……それはだな」


いきなり痛い所を突いてくるな……かなり遅くなってしまったからな、気になるのも当然か。でも言いたくないな……


「まあそれは別にいいじゃないか、何の課題でも俺は大丈夫だしな‼ ヨルンこそどんな課題だったんだ?」


無理やり話題を逸らし、ヨルンの卒業課題を聞くことにする。

するとヨルンが驚いたように答える。


「わ、おれの課題は……ええと……」


ヨルンが言い淀んでいる? まさかヨルンも変な課題だったのか? マイフレンド‼

仲間が出来たかもしれない喜びに少し心を踊らせたが現実は違った。


「そう……おれの課題は『魔法薬と社会貢献』だ‼」


「なんだよその魔法学園みたいな卒業課題は……見損なったぜ」


「え? ここ魔法学園なんだけど?」


なんだよその課題! 羨ましいぃぃぃ‼

悪態をついた俺だったが心の中では嫉妬の炎を燃やしていた。

なんで俺はおっぱい図鑑なんだ……


「おーまだいたのか二人とも。課題なんだったー?」


俺に追い打ちをかけるように友人その2が教室に入ってきた。


「お前こそなんでまだいるんだよ、リーネ」


「なんでって、忘れ物だよ忘れ物。睨むなよ……私、なんか悪いことしたか……?」


いけない、能天気に課題を聞いてきたものだからついつい目つきが鋭くなってしまっていたみたいだ。何故か睨まれたリーネが悲しそうにしている。


「あ、いや悪い。最近どうも視力が悪くてな、はは……」


「目ぇ悪いのかギル⁉ メガネでも買ってやろうか?」


リーネが優しい、でもその優しさはヒモ男を量産しそうな優しさな気がする。

そんなリーネを見てると無意識にその胸元に目が行く。

今まで意識してなかったが意外と大きいな……Cぐらいか?


すると俺の中の悪魔が囁きだす。

友人のリーネならおっぱい揉ませてくれるのでは?

自分で自分に問いかける。


……ざっくりした性格のリーネなら……あると思います。


赤の他人のおっぱいよりも揉める確率は高いだろ!

むしろここで揉めなければ図鑑完成なんて夢のまた夢だ。


頼むぜ‼ マイフレンドO・P・P・A・I ‼


「リーネ、少し話があるんだがついて来てくれないか」


「話? ここですればいいだろ?」


出来ないよリーネ、おっぱい揉ませてほしいなんて話、誰かの目の前で出来ないよ。


「もしかしたら、俺達が友人ではいられなくなるかもしれないくらい大事な話なんだ。二人きりになりたい」


「え、お前それってまさか……そういうことなのか⁉」


リーネが急に顔を真っ赤にする。

そしてそれを聞いていたヨルンが黒いオーラを発する。


「ちょっと‼ それ……本気なのかギル……」


何故か黒いオーラを発するヨルンが悲しい目をして俺をみる。

俺、何か悪いことしたっけ……デジャブを感じる、さっきリーネはこんな気持ちだったのか。


「分かった。行くぞギル‼」


そんなヨルンを置き去りにしてリーネは俺の袖を引っ張り歩き出す。


「分かったって、おい急に引っ張るなよリーネ」


「…………」


俺の言葉を無視してどんどん引っ張っていくリーネ。

そして誰もいない空き教室に到着する。

その教室の中心で顔を真っ赤にしたリーネが俺と向かい合う。


「で……話ってなんだよ」


「お前……顔真っ赤だけど大丈夫か? 体調悪いなら今日じゃなくてもいいけど」


「悪くない! 悪くない! めっちゃ元気だから! 顔赤いのは夕日のせいだし! 今日にしてくれ!」


凄い勢いで体調不良を否定するリーネ。

そんなに元気アピールしなくてもいいのに、よっぽど今日のうちに話を終わらせたいのか……


「分かった。それでリーネ、話なんだが……」


「お、おう……」


言うぞ‼ 俺は言うぞ‼ おっぱいを揉ませてくれと‼

……こんなこと前もあった気がするが今はどうでもいい。

決意を固めその言葉を口にする。


「俺……俺に……おっぱいを揉ませてくれ‼」


「ああ‼ よろし……く? え……? 今なんて言った?」


衝撃発言に一瞬時間が止まった気がする……

沈黙に耐えられずもう一度言う。


「あ、あの、だから、その……お、おっぱいを揉ませてくれ……」


「…………おっぱい?」


「うん…………おっぱい……」


「…………」


「…………」


無言の沈黙が辛い……

やっぱ友人とはいえおっぱいはダメだよなぁ……

やっちまったなぁ……

恐る恐るリーネを見る。


「【怪力ストレングハンド】」


なんかヤバい魔法発動させているんですけど‼ そして拳を握ってるんですけど⁉

怪力ストレングハンド】は手の力を強化する戦闘科目で履修する魔法だ。使い手によっては高層ビルも破壊するという。


「……死ねっ‼」


リーネは暴言と共に拳を振り下ろす。


あ……俺死んだな……

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