第4話 おっぱい図鑑

ああ……柔らかーい……マシュマロみたいだ……

離れられないなー


(おーい起きろ)


むにゅむにゅ

気持ちいいなー

これが幸せというものなのか……


(おーい大丈夫かー)


マシュマロおっぱい……


(そろそろ起きろ!)


ぐはっ!


腹部が何かの衝撃に襲われ飛び起きる。


「痛って~……ん? あれ?」


「やっと起きたかギル」


目の前にはリリアーヌ先生がいる。

俺、何してたんだっけ……すごく幸せな夢を見てたような気がするが……

そうおっぱいが俺を包み込んでいて……おっぱい?

そうだ卒業試験の課題だ‼


「先生‼ 卒業試験の課題って……」


「……ああ、決まったぞ、そしてお前はそのショックで気絶したんだ」


ショックで気絶? ……そうだ思い出したぞ‼

ああ……できれば思い出したくはなかったがな。


「卒業試験の課題……『おっぱい図鑑完成』ですよね……」


「ああ、残念ながらな」


やっぱりおっぱい図鑑だったのか……

リリアーヌ先生の返答に言葉が詰まる。


「おっぱい……変更はできないんでしたよね……」


「そうだ。でもお前はやるんだろ、ギル?」


先生が俺に問いかける。

何だろうこの課題を凄く嫌がっていたような気がするが、今はやってやるぞという気持ちが強い。

この気持ちの高低差に困惑する俺に先生が語り掛ける。


「さあ、そろそろ戻ろうか。かなり時間も経ってしまっているからな」


「そうですね、なんだか疲れたのでそろそろ教室に戻ろうと思います」


謎の疲労感に襲われながら部屋の扉に向かい歩き出す。

そういえば、図鑑ってどんなものだっけ……


そんなことを思っていると目の前に本の映像が浮かび上がる。

やがてその本は実体化し俺の手に収まる。

なんだこの本は? 表紙を見てみる。


『おっぱい図鑑』


これがおっぱい図鑑か……

ページを1枚めくってみる。


―――――――――――― 

NEW‼

リリアーヌ・レーベン 1/77 

・大きさ  Dカップ

・形    おわん型

・柔らかさ マシュマロ

――――――――――――


あれ? 何か一人登録済みなんだが……

しかも……リリアーヌ先生? 身に覚えがないぞ?


「あの、リリアーヌ先生?」


「ん、どうした?」


俺は足を止め、先生の方を振り返り本を見せる。


「あの……なぜか先生が図鑑に登録されているんですが?」


「え⁉ いやっ……その、それはだな……」


先生がめちゃめちゃ動揺している。中々レアな姿だな……

それにおっぱい……揉んだ覚えはないんだがな……

俺は先生のおっぱいを凝視する。

……図鑑にDカップって書いてあったな……あれがDカップか、あんなの揉んだら幸せすぎて死んじまうだろ。


「そんなに見ないでくれ……ってなんだその図鑑は⁉ おわん? マシュマロ⁉ その項目はなんだっ⁉」


「え、いや俺もよく分からないです」


この図鑑大きさだけじゃなく形や柔らかさも記載されるのかよ。

なんという図鑑だ。他に何か書いていないかページをめくって確認してみるが全て白紙の状態だった。

なるほど登録されるとページに記載される仕組みか。


「あの……恥ずかしいからその図鑑の詳細、あまり見ないでくれないか…」


顔を赤く染めたリリアーヌ先生がモジモジしながら俺にお願いしてくる。

おお、先生がかわいい……ってそうじゃなくてなぜ先生が図鑑に登録されているか聞いていたんだった。


「で、なんで先生がこの図鑑に登録されているかなんですが……俺、先生のおっぱい揉みましたっけ?」


「いやいやいや! 揉んでないぞ、いや揉まれてないぞ! 私のおっぱいは‼」


だよなぁ……揉んだ覚えなんてないしなぁ……そんなことしていたら忘れるわけがない、絶対に忘れない。


「そうですよね、じゃあなんで……」


「そ、そ、そ、それはだな……ええと……そのー……そうだ! それは私がこの課題の担当教師だからだ‼」


「担当教師ですか?」


担当教師? ……そういえば課題の詳細、よく見ていなかったな。

このふざけた課題の担当はリリアーヌ先生か……先生も可哀想に……


「そう担当教師だ‼ 担当教師の乳を揉むわけにはいかないだろ、だから初めから登録されているんだよ!」


「なるほど、そうなんですね」


「そうなのだ。だからな、ほら、教室に戻りな‼ 日が暮れる前にな‼」


俺はその答えを聞くと再び扉に向かい教室に戻ることにした。


そういえば先生、俺のことギルって呼んでたっけか?

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