第4話 今日の僕に降りかかる怒涛な展開
明日の放課後、水曜日、午後4:25分、屋上にて:
「えっと.......烏丸さん?さっき、クラスで屋上に来るよう言ったけど、それは昨日.......その.........手渡してくれた紙切れの内容について、だよねー?」
「....う、うん.....あの.......はい......です.....。」
僕の問いに対して、俯いているまま途切れとぎれで返事してるようだけど、ふと彼女のほっぺを見てみると、ほんのり朱に染まったなぁ....。
「........」
「........」
そろって無言となっている僕ら二人は俯いたまま顔を赤くしている。
えっと、こんな膠着した状態、誰が先に声をかけるべきだろうかー?
「「--あ、あのー!」」
どうやら、同時に声がかぶってしまったらしい。
「どっちから話す?」
「やっぱり、私からだよね....?だって、広司くんに大事なことをお伝えしたいのは私.....だし。」
「あははは.....そういえばそうだったな。」
すっかり忘れてしまった、それ。
「じゃ、話すね?えっと.....はい。広司くんがこの学校に編入してきた最初の日、その.....ホームルーム時間で担任の浅村先生が貴方を連れて入室してきた時、一瞬、意識が広司くんに向かって集中させられている感じがしたの。」
「うん。」
「でね、だから、私は思ったんだよねー?「え.....アフロ髪.....黒い肌.....?」
「はい。」
「黒人さんだよね、と目を貴方に釘付けで、なんか失礼と思いながらもずっと広司くんを凝視したままだっとの。だって、自分の目で黒人さんを見るの初めてだから。」
「ええ、それは理解でくる話ね。それで?」
「はい、それから、実際に広司くんと話してみて、その.....今は2ヶ月経ったけど、広司くんとの交流を進んでいくにつれて、毎日が楽しくて、生き生きと感じはじめたの。だって、こんなに中のいい男友達は一人もいなくて。」
「長谷川くんはーー?」
「長谷川くんはクラスメイトだけど、彼より貴方の方がすごく親しみやすいというか、その.....謙遜してる言動とか、照れている顔とか、人見知りなところとか....まあ、なんか女子と話してる時の広司くんってたどたどしくて、見ていて飽きないというか、とにかく、それが何故か愛しく感じ、それと同時にほっとけない気持ちにもさせられたんだよー?」
「そうか.......。」
やっぱり、それで僕のこと好きなのかな.....こんな風に女子に思われてるの本人の口から聞かされるの初めてだから、なんか緊張しちゃうやら照れてしまうやらで心臓がやばいぐらい強く脈拍してるけど、どう反応すればいいの、これ?僕も女子と話すのは苦手だけど、不思議と烏丸さんと話してる時はなんか心が落ち着くし、安らいだ気持ちにもなれるので、もっと君と一緒にいたいとも思う。
「だから、その.......もしよければ、私と.....お付き....合いしてくれない......の.....?」
「...................」
こ、告白.....だよね、これ?
人生15歳生きてきたけど、初めて同年代の女子に告られたよ、僕!
どう返事すればいいのこれー!
確かに僕は君に対して、ある程度の好意を抱いてるし、でもこれは恋か友情によるものかまだわかんないよーーー!
どうするの、僕ー!!敦が風邪を引いてるらしくて今日も学校に来ないから、事前に相談に乗ってもらうことも不可能だった。
それに、休んでいる彼に電話をかけるもナンセンスなので、同性の友人に意見も聞けなかったんだー!
「僕.....でいい.....の?見ての通りに、僕は<こんな外見>だし、ご家族とかに迷惑がー」
「<こんな外見>なんて言わないでーーー!!」
「--!!--」
急に声を荒げる彼女だけど、よく見ると、怒ってるような、悲しそうな顔してるよー??
「-もうー!そんなに自分を卑下にしないでー!広司くんは優しいし、面倒見たくなるほど照れ屋さんで、気弱で可愛いいし、謙遜で内気で、貴方のすべてに惹かれるのだから、誰にもそんなことは言わせないよー。」
「--!--」
彼女の言葉は心に染み込んできて絶句してる僕である。
ふと見てみると、一滴、2滴の涙が彼女の瞳から頬に垂れて、流れ落ちる。
そんなに、そんなに僕のことが好きなのかー?
嬉しいー!
胸に暖かなものが包んでこんくるかのような感覚を覚えながら、僕まで涙を流しちゃいそうになる。
「じゃ.......本当に僕で.....いいよねー?」
「うん!広司くんじゃなきゃ嫌ーー!」
「そうか.......」
僕も君以外の女子とはこんなに親しくなった訳じゃないし、君のことも多少は好感が持てる素敵な女の子とも思ってるので、答えはもう決まっているようなものだ。確かに日向さんも親しみ安いけど、彼女は誰に対してもああなっちゃうし、僕を特別に思ってくれるわけじゃないって気もする。しかし、烏丸さんはそうではないみたい。
「僕も.....この2ヶ月間で、君とお知り合いになって、勉強もたくさん教えてくれて、すごく感謝の気持ちでいっぱいだ!烏丸さんほど素敵な女の子は他に知らない。なので、僕も........すー」
バターーーン!!
勢いよく屋上へと出るドアが開け放たれたーー!
誰だーー!このムードの整った場を邪魔しにくる者がーー!!
「そこまでよ、明菜ーー!」
ん?
ドアの方に振り向けば、銀髪ロングな女子生徒が見えるけど、彼女ってーー!?
「り、梨恵ちゃんー!どうしてここにーー!?」
烏丸さんも驚いた顔してるようで、彼女の登場は予想外だったみたい。
「抜け掛けずるいよーー明菜ー!わたしも広司君のことが好きなのーー!」
えー?
「へえええーーーーーー!!??」
信じられない言葉を聞かされた僕は声が抑えられずにそう叫んでしまったのであった。普段の僕は絶対にこんな態度はしなかったけど、次から次へとあまりにも怒涛な展開すぎてついていけないやー! でも好きと言われても僕は君のこと知らないよー!?なんでそう思ってる訳ーーー!!?もう訳わかんなくなっちゃうよぉ..........。これって、もしかして修羅場展開にーー!?
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広司くんは今日もラブコメを絶賛満喫中である 明武士 @akiratake2
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