第10話 魔法少女ブリキュア その2
「ブリ男さん?」
早良が、そう言ってブリ男の方を不思議そうに見ます。
「そうです。
魔界のサラリーマンのブリ男です。
契約しますか?しませんか?どうしますか?」
ブリ男が、そういうと早良は戸惑います。
「って!魔界……ってことは、悪魔?」
「悪魔……とは、また違いますが魔族ですね」
「そんな、悪魔に魂を売るような真似できませんよ!」
「では、質問を変えます。
あの怪人に食べられますか?それともあの怪人と戦う力を得ますか?」
「そのどっちか二択しかないんですか?」
ブリ男の言葉に早良が、涙ぐみます。
「……はい。
食べられるは大げさですが、殺されるのは確実でしょうね」
「そうなんですか?」
早良が、そう言うとブリ男は頷きます。
「はい!
怪人にも怪人なりのプライドがありますからね……
ほら、見てください。
あの怪人の顔を!今にも貴方を殺そうと怒り狂っていますよ!」
「キサマは、ブリ男だな?
魔族のくせに邪魔ばかりするというあの噂の!」
怪人は、そう言って剣を抜きました。
「ほら、あの剣を見てください。
殺る気満々ですよ!」
「あんな剣はじめて見た……
あんなので斬られたら死んじゃう」
早良が、ひとりで騒ぎます。
「早良さん、落ち着いてください。
魔法少女になれば、あんな怪人すぐに倒せます!」
「魔法少女って、魔法少女ですよね?
お話とかだと【天の使い】とか【精霊さん】とかそんな感じのところからの使者から力を与えてくれるはずです!
魔族から力を借りるなんて聞いたことありません!」
早良のその言葉を聞くとブリ男はため息を吐きました。
「早良さん、落ち着いてください。
魔法少女も魔法使いも【魔】を扱うものです。
つまりは、魔族もしくは精霊と契約をしてその技を使います。
貴方は今、その魔族と契約しあの怪人を倒す力を得るのです。
あの怪人だけではありません。
貴方はこれからゾンビや怪人だらけの世界を救うのです!」
それを聞いた早良に不安が襲います。
「でも……
そんな大変なこと私なんかに務まるわけが……」
「大丈夫です。
貴方の勇気、見せてもらいましたから……」
「私の勇気……?」
「はい。
僕をあの雑魚な怪人から救おうとした勇気です。
そして僕には、貴方に力を与える力があります」
「私に力……」
「そうです。
力です。
少なくてもこの場にいる人々は救えるでしょう。
僕と契約して力を得ますか?
それとも契約しないで死にますか?」
「私……」
早良は、ゆっくりと息を吸い込みます。
力が……力がほしい。
みんなを護る力がほしい。
そして、早良は答えを出したのです。
「私、魔法少女になります!」
早良の言葉を聞いたブリ男は優しく微笑みました。
「はい。
わかりました」
ブリ男は、そう言って手を差し出します。
早良は、戸惑いながらもブリ男の手を握りました。
「これで、契約完了です!
その意志……しっかりと受け取りました!」
ブリ男が、そう言うと早良の中で何かが生まれました。
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