第4話 解除呪文は簡潔に

「ククククク」


 笑い声が響きます。

 禍々しい魔力と殺気を込めて犬が笑っています。


「笑う犬?」


 ヒラノは余裕の表情で笑います。


「我は犬。

 我が名はアースペルガー!

 この村娘を我の糧にしてもよいとフィサフィー様から許可を得ている。

 男は殺す」


「ゲスいね」


 ヒラノはそういって拳を握りしめます。


「あの犬。

 アースベルガーは恐ろしい犬だ。

 祝福されしもの。ギルテッドでテオスの幹部クラスだ!」


 ヤスは剣を構えます。


「ただ黙って殺られるわけにはいかん!」


 ヒデは斧を構えます。


「勝てると思っているのか?その程度の魔力で!」


 アースペルガ―が牙を剥き吠えます。


 ――プスン。


 13が銃を撃ちました。


「先制攻撃」


 13が小さく言いました。


「おもしろい!我力を解――」


 アースペルガ―はそこまでいうと姿を消しました。


「あれ?逃げたの?」


「遠くに飛ばす魔力を込めて銃を撃ったから今頃異空間にいるんじゃないかな?」


 13の言葉にヒラノは笑います。


「そうなんだ?

 まぁ、いいや。

 とりあえず主従契約は解除するね」


 ヒラノはポンポンと手を叩きます。


「ん?」


 ミカンは首を傾げます。


「おわり?」


 13も首を傾げます。


「うん。こんなもんだよ」


「ふーん」


 13はそれ以上聞かないことにしました。


「じゃ、僕はあの村に戻るよ。

 ヤスさんとヒデさん。

 なんかあったら連絡してね!」


 ヒラノはそういって手を振りました。


「いや、せめて馬車で送る」


「馬車は僕にも扱えるから大丈夫」


 ヒラノはそういって馬車に乗るとその場から離れました。

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