その22 みんなの様子です!

それからというもの、私は洗濯の仕方の話をしたり、メディチさんの部屋の本を読ませてもらったりするために店が休みの日は足繫くお屋敷に通った。

本は、字の読み書きがいままでしたことがないのにいきなり読めてびっくりしたけど、恩恵のおかげらしい。知識の箱が私に知識を得るための道具をくれるんだって。

今回の場合は文字の読み書きの仕方らしい。

これが出来ればいろんな本を読んで知識を得られるからね。

今まで読んだ本で、父さんも知らなかった薬の調合を持ち帰って父さんと一緒に調合したらすごい良い物が出来た。

お屋敷の薬師さんもこの品質で作るのは骨だからと備蓄用にいくつか頼まれて、父さんはいい仕事が手に入ったってほくほくしてたよ。

最近は良くしゃべるようになった気がする。相変わらず、薬のこと限定だけど。

母さんは王都のパンの焼き方を教えてもらったり、メイドさんたちのおしゃべり相手をしたりするのが楽しいらしい。ちゃっかり教えてもらった焼き方を婦人会で広めていいか聞いて、それを使ってまた婦人会で情報料として色んなものをもらってきた。さすがです、母さん。


それから、王族の皆さんはここを一時的な別荘ではなくて、きちんとした別荘としてまた整備しなおすらしい。思ったよりも過ごしやすかったし、南がまだ大変だからこっちに避難しておいた方が良いんだって。

最近は南から来た大工さんたちが、こっちの木材を扱う店の人たちと一緒にその人たちの住む場所や正式なお屋敷の設計について色々相談したりしてるらしい。

この前久しぶりに会ったミェーチが楽しそうに話してくれた。

ミェーチは手先が器用だから、内装の彫り物も担当するかもしれないんだって。

王都でもすごい数が少なくて、なれるのはほんとうに一握りだから、こんなに田舎の職人がってミェーチの師匠が言ってた。

大体が中央にいる人たちで、地方の職人はそもそも眼中にないんだって。

まあ、国は広いし、手近なところに良い人がいればそれでいっかってなるよね。

それに技術のある職人は中央に集まるから自然と中央の技術の方が発達しやすいよね。


ヴィネーラの弟子入りした工房は、正式なお屋敷の調度品のためのコンペに参加するらしい。いつもの工房は王都にあるし、南の流行り風邪で結構な職人が亡くなったり、そうでなくても仕事ができないほど弱ってしまっているらしい。

今急いで呼び寄せているけれど、道中も厳しい道のりだし、全員が無事こちらに着いても人が足りないんだって。総出で王族のご指名いただいて贔屓にしてもらうんだって言ってた。あんまり寝てないって言ってたからちょっと心配だな。

マーリンもその件で勉強しながらいきなりコンペの運営をやることになって大変だって言ってた。補佐でも色々あるらしい。


あれ、ちょっと整理してみたらなんか皆結構無理してない?

いくつか薬調合して差し入れに入れておこう。

……焼け石に水、かもしれないけど。

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