その21 お屋敷でそれぞれのお話です!

「それでは、その洗濯を高い温度の湯で行う煮沸消毒というものが流行り病に良いのだな。」

「はい、煮沸消毒を行うことで病気の元を廃することができるのだと思われます。身の回りを清潔に保つこと、食物を食べる前にしっかり加熱したり、調理器具にも煮沸消毒を行うと流行り病の予防もできるかと。」

私があの後父さんと母さんに学校の話をしていたら、お屋敷から伝言が来て、さっきの話の事と、流行り病の治し方を聞きたいから明後日全員で屋敷に来るようにと言われた。

絶対に洗濯が良かったのだと興奮する母さんと、おろおろし始める父さんをなだめて、お屋敷について、今。


「なるほど。よし、シリウス、それぞれ詳しく話を聞きたいので、それぞれを部屋に案内してやれ。」

父さんは王族のお付きの薬師さんに、母さんは掃除とか色々聞きたいメイド長に連れられて部屋を出ていった。私は誰についていくのか。

「よし、ソフィア。君は私と話をしよう。」

「えっ」

あの、なんかすごい蛇に睨まれた蛙になった気分です。


それから、勧められたソファのふかふかなクッションとテーブルにたくさん並べられた甘いお菓子によってあっさりからめとられた私は、お菓子をつまみながらぽろぽろと自分の分かる範囲のことを答えていった。メディチさんの質問が矢継ぎ早に来る。すごい。

「なるほど。その清潔であることは食事の水にも気を配る必要があるのだな。」

「布団は温かくしておいた方がいいのか。寒気にさらして病を飛ばすという方法を聞いたことがあるがそれは逆効果なのか?」

「音叉による治療は効果なしか。まあ、そうだろうなぁ。あやつらでは器具を扱えないだろうからな。」

以前街に来た医者が使っていたあの鳴らす道具は音叉という魔道具だったらしい。魔力をしっかり込めて使うと病気を祓えるらしいけど、街をまわってた人たちだと魔力が足りなくて意味なかったらしいよ。なんてこったい。

王都では体に傷をつけて血を抜いてみたり、犬に噛ませてみたり、泥を塗ってみたり、色々と苦肉の策がとられているらしい。薬屋から見て、その苦肉の策はほとんど効き目がないだろうし、むしろ傷口が汚れてたらさらにひどいことになりそうな気すらするんですけど。聞くだけで寒気がする。おー、怖。


色々私も王都のことを聞いて楽しくなっていたら、父さんと母さんもさっきとは見違えたように元気になって戻ってきたのでそのままお暇した。二人とも、あんなに怖がっていたのに二人とも、それぞれの部屋で意気投合したらしく、またここに教えにくることになったらしい。父さんも母さんもお土産に何かをもらっていたので、私も食べきれなかったお菓子を持ち帰っていいと言われて大喜びで布に包んだ。その布が新品みたいにきれいなのも洗濯のおかげだと伝えたらびっくりしてたよ。へへん。

それからちょろっと話が出た学校のことも、今決めてもどうせ学校自体がまだないので、しばらく落ち着いたらまた考えることにするという結論に落ち着いた。

とりあえず、しばらくはお休みの日にお屋敷に通うのが続きそうだなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る