その8 みんなで一緒にお洗濯です!
それから母さんは井戸端会議のたびに大洗濯会と持ち寄りお昼ご飯の話をみんなにしていた。
おかげで婦人会以外の人たちも来るそうだ。まあ、有志の婦人会じゃないけど、仲いい人、母さんはいっぱいいるもんね。せっかくきてくれるので、当日の持ち物や注意点もちゃあんと伝えてもらった。
といっても、自分でたらいとかき混ぜ用の棒と、洗濯物を干すためのロープ、お昼のご飯。それだけ。川から水を汲むのに、何人かが余分に桶を持ってきてくれるらしい。嬉しい。
なんかどんどん人が増えるなあ、なんて思いながら気が付けば当日になっていた。
「それじゃあ、皆さん。聞いていると思いますがもう一度説明しますね。」
当日、ふたを開けてみれば15人ほど川のほとりに集まっていた。母さんのいつも行ってる婦人会って6人だよね?倍以上いるよ?
まずみんなで水くみとロープを張る場所探しを手分けしてする。水はまだひんやりして手がじんじんしてくる。途中で小さなたき火をこしらえて順番に手を温めながらたらいに水を張っていく。ロープを張る場所探しも、枯れ枝がちゃんと折れないか確認するだけのはずが小さい子たちは木登り遊びになっていた。ちゃんと手ごろなところがすぐ近くに見つかったからいいけど。
全部のたらいに水が張れたら、魔法で火を入れて沸かして周る。途中からは勝手がわかったお母さんたちが自分でやってくれた。さすがです。いつもやってるからかほぼ一発でみんなお湯ぐらぐらにしてました。すごい。
「んー、先にロープを洗って張っておかないと干す場所が出来ないのでとりあえずロープは全部私が洗っちゃいますね。皆さんはそれでやり方を見て、その後持ってきたものの洗濯をしてください。ロープ張るのは……木登り好きな人~?」
「「はーい‼」」
よし、これでロープは張れるから見回って色々できそうだ。
「それにしてもお湯にするとこんなにきれいになるのね!」
「ほんとほんと!ロープがもう新品じゃない!」
お湯を2回替えたころにはみんなはしゃぎながらロープを見ていた。
ロープを一気に洗い始めてからどのロープがどの人たちのか分からなくなりそう、しまったと気が付いたけれど、大丈夫だった。それぞれ微妙に色や太さが違っていて、みんな自分たちの分は見分けがつくらしい。
もうお湯も汚れないしもうこれでロープは張っておいてもらおう。
お湯でここまで汚れが落ちることにはすごいびっくりされたし、冷たさで手がかじかむことなく洗えるのが良いってすごい褒められた。うれしい。
遊んでいた子供たちにロープを張ってもらっているうちに自分たちの洗濯物をそれぞれ洗ってもらいながら様子を見て回ったけど、別にそんなに口出ししなくて良かった。
「こりゃ楽だね、手が痛くならないのがいいよ」
「だんだん手の感覚がなくなるもんね、しまいにはつかめなくなってさ」
「数が多くても一気に出来るからうちなんか助かるね」
やっぱり家族が多いその分と利点が多いみたいだ。途中でちょっと冷めてきたお湯に足を入れて踏み洗いに移行してる人もいて、見てて楽しい。踏み洗いだとちっちゃい子も一緒にできていいね。やけどしないように温度だけ注意すれば楽しいお手伝いになるんじゃない?
そうして干し終わった洗濯物がずらっと並んだ様子は、なんというか、すごかった。
それ以上に一仕事終えたあとのお母さんたちの笑顔は、すごかった。
きらきらしてる笑顔って、いいね。
みんな風邪の流行で暗い顔ばっかりだったから、嬉しい。
すごく疲れたけど、大洗濯会、やって良かったな。
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