その5 台所で思わぬトラップです!

 スープを食べて洗いものをしたら部屋の掃除、と思ったけれど予想外の予定が出来た。


「水瓶の時に怪しいと思うべきだったか……」

 台所が汚れている。

 埃、食べ物のくず、その他諸々。

「これは台所が先ですね……口にするものが先……」


 水は水瓶の残りを沸かして大丈夫そうなら使うとして、まずは鍋を洗おう。

 作業台を午前中に洗ったふきんで水拭きしてそこにお鍋と食器を出す。

 水を水瓶から上の方だけ汲んで、魔法でお湯にしている間に水瓶の水を外に捨てに行った。

 だってなんか底の方あやしかったんだもん。

 お水の感じがなんか変だった。

「ついでに井戸で洗ってこよう。水も汲んじゃおう」


 まずは汲んだお水で外と中をざばざばこすり洗い。

 井戸のところにあったたわしを勝手に借りたのは秘密。

 誰かの忘れ物だと思うけど、だれか、忘れてくれてありがとう。

 おかげで水瓶がきれいになりました。


 ぬるぬるが落ちたら水で水瓶をいっぱいにしてお湯にしてしばらく放置。

 これを2回。本当はもっとやった方がいいのかもしれないけど、寒いし限界。

 お湯で手をあっためてても寒いのは寒い。雲が流れるのも早いなぁ。

 冷めたお湯を捨てて新しいお水で満たしたらそそくさと家に帰る。


「あー、寒かった。」

 帰ると、丁度鍋のお湯が冷めて、汚れがふやけてくれていた。

「うっ、きちゃない……」

 思った以上にこびりついてました。知りたくなかったな……。

 すべての鍋のお湯を流してさらにお湯を張りなおして放置。3つだけしかないけど。


 その間にたわしで流しを綺麗にこすっていく。

 母さんの使うたわしは持ち手が付いていて、井戸のとこにあったのより使いやすい。

冷めかけだけどお湯を流した後だったから、汚れは落ちやすかった。

石でできているみたいで、ごしごし強くこすっても心配ないのが分かったので存分にこすっていく。


 夢中でこすっていたので、気が付けば流しだけピカピカになっていた。

「よし、そしたらここ栓できるし、ここに全部入れて煮沸消毒しようかな」

 鍋も良い感じに汚れが落ちたからあとは食器と一緒に洗うくらいでいいだろう。

 水瓶の水を流しにためて、お湯を沸かす。

鍋をそこに沈めて、その鍋の中に食器を沈めていく。

お鍋がひたるくらいまで水を足して沸かして放置。


「その間に竃と作業台だね。」

 残り少ない水瓶の水をそのまま沸かして、新しいふきんをいくつか濡らす。


 竃にあったかい濡れふきんをいくつか重ねて置いておく。

びしゃびしゃに濡らすわけにはいかないからふきんで濡らして汚れがふやけたのをこすって落とすつもりだ。


 作業台はそこまでひどくなかったのでもう一度水拭きと乾拭き。

 濡れふきんをちょこちょこ様子を見ながら濡らして、その合間に煮沸消毒した食器を吹きながら作業台に並べる。

お鍋も良い感じなので、水を抜いた流しに立てかけて乾燥させた。


 竃の吹きこぼれとかだろう汚れもふやかしてこするとするっときれいに取れた。

「これで安心してご飯が食べられる……」

 我ながらちょっと感動するくらい綺麗になった。元が元だからっていうのもあるんだろうけどさ。


 よし、次は大本命のお部屋の掃除だよ!

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