第15話 プレゼント

 クリスマスイヴをあと数日に控えたある日の夜。

 俺は一人、部屋で考え込んでいた。


 (プレゼント、どうするかな…)


 結衣は気にしないだろうけど、クリスマスイヴといえばやはりプレゼントだろう。

 正直、アクセサリーの類は、いいのを見繕える自信がない。

 それに、結衣は服装こそ清潔感を保っているものの、あまりアクセサリーの類をしているのを

 見たことがない。


 "彼女 クリスマスプレゼント"


 で検索してみる。


 旅行・食事

 ネックレス

 指輪

 バッグ

 花束

 腕時計

 …

 

 色々なものが出てくる。


(指輪はありか?)


 元々、あいつが付き合って欲しいと言ってきたときには、一生を共にしてもいいという

 覚悟だったのを思い出す。


 なら、その証として、指輪をプレゼントするというのも。


(ただ、気が早いか)


 ドン引きすることはないだろうけど、ようやく正式な告白(たぶん)を受けるタイミングで

 指輪というのはどうだろう。


(財布とかバッグは無難かもしれないが)


 実用品だし、変なものを選ばなければ安心だろう。

 ただ、せっかくの特別な夜、もう少し考えてみたいところだ。


(昔の写真にヒントがないだろうか)


 そう思って、机の引き出しにしまってあったアルバムを取り出す。


 すると、幼稚園の頃から今までの写真が入ったアルバムが出てくる。


(懐かしいな…)


 まだ結衣の両親が離婚する前に、俺たちで揃って撮った集合写真。

 幼稚園の卒園式の写真。

 小学校の入学式の写真。

 

 大事な場面にはいつも結衣がいつも一緒に写っている。

 

(それだけ長く一緒に居たんだな…)


 どれも大切な想い出だ。


(想い出…想い出…そうか!)


 プレゼントのアイデアを閃いた。

 これなら、Ama〇onを探せばそれなりのがあるだろう。

 見ると、ちょうどおあつらえ向きのものがあった。

 「ギフトラッピング」のオプションがある。

 ただ、せっかくのプレゼントの放送をAma〇oに任せるのもなあ。

 せっかくだ。

 ラッピングから手作りでやってみよう。


 そうして、包装紙を注文してプレゼントの包装からやることにしたのだった。


(あいつは喜んでくれるだろうか…)


 そうして、夜は更けていくのだった。

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