本編
第一界 第一章 第零話 ~夢~
果てしなく広がる砂漠の大地
一人さまよう男。
この物語の主人公 火闇 留師(ヒヤミ リュウジ)
年齢 現在16歳 生年月日 2074年7月4日
職業 学生
「んがぁ~、あぢぃ~、どっか休める場所ねぇかぁ~? って、一人呟いても意味ねぇかぁ~。んがぁ~喉乾いたぁ~……」
火闇は倒れた。
倒れて、とても深い眠りについた。
「・・・」
金属で造られた冷たい部屋、牢獄で火闇は目を覚ました。
「んがぁ~」
そして、そこにはもう一人、先に牢獄に容れられていた見た目が30代位の男がいた。
その男は牢の隅でうずくまっていた
「んぎょ~」
「・・・」
その男に火闇は声をかけたが、返事はない。
「んぎょ~!!」
「・・・」
今度は少し強めに声をかけたが、やはり返事はない。
「んがぁ~ぁ、何でそんな落ち込みぎみなんだぁ~?」
「・・・」
欠伸をして話しかけても、なにも答えてくれない
「・・・」
「んがぁ、喉渇かねぇかぁ?俺はもうからっからだぁ~」
そういって火闇は電子レンジを開けるかのように、自分の腹部の左側からとってをつかんで右に開く。
開いたその腹部の中は、ジュースディスペンサー(セルフドリンク機=レストランとかにあるボタン押すと飲み物が出てくる機械のよう)になっている。
「んごれさぁ、半機半人なんだよねぇ」
火闇は近くに置いてあった紙コップをとって、開いた自分のお腹に入れた。
火闇は自分の胸の辺りにあるボタンを押した。本来ならそれでドリンクが出るはずだが、出なかった。
「んがぁ~、そういやぁ俺ぇ、喉渇いてんだったぁ~」
火闇の言う渇いたと言うのは、自身の体内にある貯水タンク のことを言うことがある。水の貯蔵庫が空だと、ジュースが出ないのだ。
「んがぁ~ぁ、水ねぇかぁ?水ぅ」
火闇が腹部の扉を閉じ、水を探していると
「水なら、そこに給水機がある・・・」
と、うつむいている男が低く落ち込んだ声で呟いた
「んごぉ~、そうかぁ~さんきゅー。
ってかぁお前しゃべれんのな(笑)」
「・・・」
「んがぁ~ぁ、黙っちまったぁ」
「・・・」
火闇は、給水機に近づき、紙コップをとって水を注ぎ、腰に手をあて一気に飲み干す。
「くかぁ~、なぁ、お前も喉乾かねぇか?」
「俺は、いい。」
もう一人の男は火闇の方を一度見てうつむいた。
「そうかぁ~、んじゃ、さーてどうするかなぁ~?」
火闇は牢獄の中をうろつく。
「んがぁ~ぁ~、何もねぇ、寝るかぁ」
火闇は寝た。
「・・・のど、かわいたな…」
火闇が寝静まった頃に、もう一人の男がポソッと小さい声で呟いた。
「んぁ?」
火闇は、その男の呟きで目を覚ました。
「!?」
男は驚いた。火闇に聞こえぬように小さく呟いたはずだったが 、それで火闇が起きてしまった。
「なんだぁ~?喉渇いたのかぁ?」
どうやら火闇は地獄耳のようだ。
男の呟きをしっかりと聞き取っていた。
「・・・渇いていない」
男がそう呟いてるうちに、火闇は腹部を開き、紙コップをセットして胸の辺りにあるボタンを押してドリンクを注いでいた。
「んぎょ~し、コーラだぁ飲めぇ!!」
「!?」
火闇は、男にコーラの入った紙コップを
差し向けた。
男は、戸惑いながら仕方無さげに受け取った。火闇がキラキラした目で見てくるので、これまた仕方なく、飲んでみた。
「っ!!なんだこれはーーーーーーっ!!!!!!」
男は牢獄の天井を突き破るなり遥か上空へと飛んでいった。
そしてその時、火闇と男の様子を見にきた牢獄の監視役の女性は(20代)、男がコーラを飲んだ場面を目撃していた。
男が飛んでいったのを確認した火闇は、その女に気づいた。
「んぎょ~、お前も飲むか?」
「要らないわ、今すぐそれを捨てて死になさい!!」
コーラをすぐさま注いで女に差し出した火闇は、女に刀の先を牢越しに突きつけられた。
「んがぁ!?」
「あなた、ここがどこだかわかってるの?」
「んがぁ~、どこってぇ?ただの普通の砂漠だろぉ?違うかぁ?」
「ここは、炭酸禁止区域よ!」
この砂漠地帯ではコーラを含む全ての炭酸飲料を飲むことをこの国の法律で禁止されている。(正確には二酸化炭素類を含む食べ物や飲料水、またありとあらゆる有害物質を排出する機械や道具、乗り物まで禁止され、徹底的な環境保護を法律で定めている)
「へぇ~、Zzzzzz…」
「寝るな!!!!!!!!!!」
「Zzzzzz…」
「はぁ・・・」
女は火闇に呆れ、刀を納めた。
その時、何かが落ちたように、
ドンガラガッシャン!!と上から音がした
「!?」
女は思い出したかのように気づいた。
火闇より先に入れられていた囚人がいないことを、上を見ると牢獄の天井が破られている。
まさかと思った女は外へでて、そこから牢屋のある辺りの上を見た。
そこには、火闇の差し出したコーラを飲んでぶっ飛んでいた男が落ちていた
「囚人1!!!!!!」
「な・ん・な・ん・だ・こ・れ・は?」
男は女の呼び掛けを無視し、先程の強烈なコーラの感激に浸っている。
「こんな強烈過ぎる炭酸水、今まで飲んだことがない。」
「囚人!!!!!!」
女が再び男に声をかけるも、その響きは儚く消えた。
男はボソボソ呟いている。
「まぁいいわ、何もしないようなら、さっさと捕まえれば…!?」
「すまない、俺はここから逃げさせてもらう」
「はぁ!?」
女が男を逮捕しようと歩み始めようとした瞬間、男は立ち上がり女にむかって謝り、屋根をつたって逃げていった。
その時の男の表情は笑顔で、16歳位の少年に見えた。
「ま、待ちなさい!!!」
「んがぁ~、んぎょいしょっとぉ~!!」
「!!?」
男を追おうとした女の後に、火闇は男が突き破った天井を抜け、脱獄を試みていた。
「しまった!!」
火闇に気をとられた女は男を逃がした。
「んがぁ~ぁ、ぐふぁ~。んぁ?・・・!?んぎょ~!!」
火闇は欠伸背伸びをし、こちらを睨んでいる女を見て声をかけた。
「あなたは無期懲役よ!!逮捕する!!!」
女は怒りを込めてそう宣言した
「んがぁ!?」
動揺する火闇。
女は疾風の如く屋根の上の火闇に飛びかかる。火闇はそれにおどけて女をかわし、逃げていく。
「んがぁ~ばよぉ~かわいい警察さ~ん」
「こらぁー!!にげるなぁー!!」
女はチーターの如く時速120㎞で追ってきた。逃げている火闇との差は、8メートル
火闇の時速は74㎞
火闇が逃げながら後ろに振り向くと
2メートル先のところに女がいた
「女速えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!」
「逃がすかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
こうして火闇と女との果てしないチェイスが始まった。
しばらく逃げ回っていると先程の男(もはや少年にしか見えない)が逃げていた
「!?…ちょうどいい、囚人1!!あなたも逮捕する!!」
男に気づいた女は火闇と男を追いかけ、男と火闇はひたすら逃げる。
逃げて・・・
逃げて・・・
辺りが真っ暗になっていく。
真っ暗になっていく。
なっていく・・・
・・・
・・・
・・・
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