第5話 コソ泥討伐
僕の地元の民家に泥棒が入ったらしい。
拠点にしているアクリの町は、かなり広くて治安が良い方だが、たまにこういうことが頻発する。
できるだけ自営しているけど、真面目にやってても目をつけられるときは、つけられるしな。
ちょっと前は薬売り問題。
その前は、疫病はやりかけ問題だったか。
最近は、泥棒問題が、町の中で頻発しているらしい。
前者二つに比べると穏便そうに見えるけど、財産がなくなるのも結構いたい。
俺の家も不安だな。
で、こういう時に余計なことをやらかす阿保共がいるんだよな。
面倒になるから黙っていたのに、どこからか聞きつけた幼馴染達がやってきて、勝手に解決にのりだしてしまった。
「よるんの地元なら、おれのじもとも同然だ!すけだちしてやる!」
「私も力になるわ。三人一緒にわるいやつをやっつけましょ!」
なんだかんだ流されてる事が多い僕は、初心に帰って然るべき組織に任せろといった。
きちんといった、しかし聞く耳をもたない。
無駄に正義真が強くて、無駄に責任感が強くて、無駄に好奇心が強いからな。
馬鹿の方は興味本位だけど、お嬢様の方は誰かが解決してくれるのを待って何もしないのはよくないの、とのことだ。真面目か!
そういうわけで、いつのまにか猪突猛進型幼馴染達のお目付け役になっていた僕は、彼らに同行する事になった。
町を巡回する幼馴染ズ。
「よーし、異常なし!」
「こっちもだいじょうぶよ!無問題だわ」
さっさと飽きてくれ、と思っている間に偶然にも目の前に民家の中で一仕事し終えたコソ泥と遭遇。
ばりーん。
あ、なんか落ちた音。
窓から身をのりだした泥棒が、生け花を飾っている過敏でも割ったかな。
普通なら、窃盗された家かわいそうだなって終わるところだけど、そこの家俺の家だからな?
いー天気ですね窓からこんにちは、くそ野郎がっ。
「てめぇ、どの家に盗み入ってんだよ、おらあああああ」
珍しくストレスがたまっていた僕は、幼馴染ズをおいてコソ泥を殴り倒した。
どこすか。
ばかぼこ。
いざという時になぐって説得するために鍛えたこぶしで。
「ヨルン怖っ!」
「……っ」
コソ泥を一秒で縄で縛って転がした後は、震える馬鹿と無言で青ざめるお嬢様にお説教フルコースをさく裂させた。
真っ赤な色に染まった拳でこんこんとお説教する俺が鬼みたいでこわ待ったとか言ってた。
普段のお前らの無謀よりはましだよ。
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