第6話 指名手配犯




 最近、売れない在庫を抱えて悩んでいた両親。

 しかし、色々あって問題が解決したようだ。

 僕は久々に気分が良かった。


「商売で雲行きがあやしいなら、俺達に相談すればよかったのにな! 馬鹿だよな!いてっ」


 軽口をたたく馬鹿には鉄拳をお見舞い。


「困っていたならきちんと相談して。私達じゃ役に立たないかもしれないけど、でも知らない顔でなんていたくないわ」


 普通に心配してくれたお嬢様には感謝して、あと謝罪も。


 ともあれ、万年日常暴走型である彼等に余計な荷物を背負わせると話がきっとこじれてしまう。


 だから、黙っていたのだ。


 だって、この二人放っておくと、いっつも面倒に首をつっこむ。いっつも変な事に関わる。


 そんな事相談したって、ややこしい事になるにきまってる。


 この間、付近で呪術犯罪者が暴れているとかいう話がでた時も、


 首突っ込んだからな。


 ああ、呪術っていうのは、禁止されている力のこと。


 なんか血とか臓物とか生贄とか用意する必要があるんだとか。


 こわ。


 あいつらよくそんな恐ろしい連中のもとに殴り込みに行けるな。


 まあ、僕も結局ついていったんだけどさ。


 しっかりこいつら本当になんとかならないのかよ。


 いっつも何かしらにクビつっこんでるじゃん。


 ほら、今だって。


「きゃー、町の中で指名手配犯が暴れてるわ! 誰か!」

「大変だ、助けにいかないと!」

「ええ、早くつかまえなくちゃ」


 こんななんだから。


 オチが予想できていた僕は、急いで飛び出そうとする、幼馴染達の襟首をひっつかんだ。



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