第3話 幼馴染(お嬢様)との出会い



 面倒なことはできるだけしたくなかったけど。


 本当に嫌だったけど、あの後大変なめにあったな。


 まあ、思いもよらずミミックの実が役に立ったのは幸いだったけど。


 あの森で、子供達が迷子になった時は、肝が冷えた。


 それで、その事件発生の後。

 

 しばらくしてから、僕はもう一方の幼馴染(お嬢様)に出会った。


 一か月後に、再びカルル村に訪ねたときだ。


 小さな町の中で、子供達と一緒に木刀で素振りしてるところを見た。


 びゅんびゅん。


 残像しか見えねぇ。


 ステラお嬢様、人間やめてません?


 俺とそうかわらない歳なのになあ。


 貴族のお嬢様なのに、県の才能があるんだよな。


 だからたまに要らない正義真発生して、ツェルトと暴走してるんだけどな。


「……」

「ねぇ、あなた」


 そのお嬢様が、なんか体中に木の葉くっつけながら話しかけてきた。


「……」

「よるん」

「……」

「よるんってば。なんで、目をあわずにとおりすぎようとしてるのよ」

「オハヨウございます」


 だって、面倒そうな雰囲気してたし。

 

 関わりたくなかったけれど、呼び止められたのでやむなく対応。


 商人の両親の顔に泥をぬるわけにはいかない。

 どうせ放っておくと後で迷子が多重発生したり、モンスターが暴れたりするんだろ?

 慣れてるよちくしょう。


 ステラお嬢様たちはかなり、トラブルメイカーだけど、一応トラブルも未然に防いでるし。


 こういう細かいところから、悪評が流れて行ってしまうのだから、後者の場合はきちんと対応しなければ。


「すいません、気が付きませんでした。かわいらしい服ですね」


 訳:とても木の葉付きで斬新ですね。


「そういうおせじは、いいの。このへんで男の子みなかった?」

「男の子ならたくさんいますが」

「うーんと、とび色の髪をした子で、ちょっとあほっぽい子」


 なんかツェルトの馬鹿か。

 ここに来るまでに、話しかけられたが無視したやつだ。

 あの鳶色の頭の馬鹿。

 あのアホそうな顔つきの馬鹿。

 あのミミックの実を投げたら、皆に10倍返しされてる馬鹿。


 いつか感が縁なしに、ムカつくからって貴族に石ころなげて、反逆されそうな馬鹿がどうしたんだろう。


 目の前でステラお嬢様がピーチくぱーちく。


 なんだかんだいって、この町にくるたびにつきまとわれるんだよな。


「馬鹿の男の子ならあっちの木にのぼって、やべっ蛇にかまれたーっとか言ってましたよ」

「ええっ、大変。手当しなくちゃ。じゃなくて蛇が大量発生してるから退治したいの。ヨルンも用事が終わったら手伝ってね」


 走り出すお嬢様のお召し物は立派なもの。

 良い家のお嬢様なに、木の葉ついてるけど。


 あれ、蛇と戦ってたせいか?


 馬鹿にかかわるのは面倒だったけれど、両親のために商売チャンスを逃すわけにはいかない。

 傷薬とか、蛇除けの薬は売れそうだ。


 僕は商品をうりつけるために、ステラお嬢様の後をついていった。


 その後僕は、足をはらした馬鹿の面倒を見ることになった。


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