第5話 オペレーションH
「新入りがいるから、まずは状況説明から入りましょう。ヒロ・ヤマシロさん?自己紹介を皆様にしてくれるかしら」
と女帝エスカリーテは玉座で言った。
しかし、なんでこの軍議は妙齢の女性しかいないのか?軍隊にしては、色気がありすぎるんだけど。いやいや、これはきっとエロゲーの設定の再現の都合上仕方ないに違いない。
「はじめまして、ヒロといいます。新東京大学の数学科の学生です。エスカリーテさまに紹介されてここには来ました。特技はコンピュータを扱うことですかね?趣味はストラテジーゲームをすることです」
女性たちは僕の自己紹介を真剣な面持ちで聞いている。
「質問はいいかしら?」
ひとりの女性が手をあげる。
「どうぞ」
「ヒロさんはHの経験はどの程度積んでいらっしゃるのでしょうか?」
おおう。これはDTとか言えない空気だな。冗談はさておき。
「従軍経験はないのでHがどういうものなのか、正直まったく存じ上げません」
ざわめく女性たち。
質問をした女性はつづける。
「Hの経験もないのにオペレーションHになぜ参加したいと」
「それはエスカリーテさまを敬愛しているからです」
「なるほど」
エスカリーテはにっこり笑うと。
「まあまあ、みなさん。Hの経験がないのは私も同じですから」
となだめる。
「ちょっと待ってください。エスカリーテ元帥閣下は実戦経験ゆたかなお方ですから、Hの1回や2回。経験がなくても大丈夫かもしれませんが。このど素人をどうしろっておっしゃるんですか!」
と質問した女性は憤慨している。
「物資がただでさえ不足しているのに、無駄飯食わせる余裕なんてレジスタンスにはありません」
オペレーションHか……。いったいどんなことをさせられるのだろうか。
聞いてみるか。
「そのHとは具体的にナニをどうするのでしょう」
とエスカリーテに尋ねる。
「HackingのHですよ」
とエスカリーテは答える。
「ハッキング?」
「そうです。宇宙人の作業用ロボットへのハッキングにより地球は占領されました。これを覆すには、地球軍もサイバー戦の応戦をしなければいけません」
なるほど。エロゲーだからってHなことはなしか。ちょっと興奮していた自分が情けない。それならコンピュータが得意で、数学を操る自分が呼ばれたのも頷ける。
「そして、あなたには私と模擬戦でHをすることを命じます」
とエスカリーテ。
刺激的な言葉だな。おい。
「あとで私の執務室にくるように。今夜は寝れるとは思わないこと。この軍議が終わったら英気を養っておくといいでしょう。長丁場になるでしょうから」
徹夜でコンピュータと格闘か……。まあ、エスカリーテと2人っきりならそれも楽しいかもしれない。
僕はそのときHackingのかたわら、エロゲーらしいHなことも同時進行でおこなわれるなどとは想像もできなかったのだ。
そして、それこそが男性としての僕の役割だとは。
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