第4話 元カノのフィギュアとの邂逅

 レジスタンスの本拠地は「征服少女」の開発元のゲーム会社ギンガゲームの事務所の中にあった。


 自分がプレイしていたゲームの開発されている所をみるのは中々に新鮮な体験だった。PCの上には征服少女の攻略対象キャラクターのフィギュアが乱雑に並んでいた。


「あ、このキャラは……」

エスカリーテをガチャで引く前に一緒に闘っていたキャラクターのシルフィアだ。

シルフィアのどこが気に入っていたかというと。清楚ビッチなところだった。


慎ましやかなたたずまいの彼女は、その外見とは裏腹に、過激な発言を無知ゆえにしてしまうという処女設定だ。


「ふーん。あんた。そのキャラ好きなんだ……」

と後ろから話かけられる。


振り返るとそこにいたのは。

ゲームの開発職の女の子だった。

髪を青色に染めた露出度の高いゴスロリ風のファッションをした彼女にドギマギする僕。

「どもども。わたし、征服少女のキャラデザやっているアートディレクターの星里茉里っていうんだ。ホシリンって呼んでくれていいよ」


「ホ、ホシリン!」

ホシリンさんは、エロゲマニアの界隈では名の売れたイラストレータでもある。

こ、ここはひとつ。

「すいません、サインお願いします!!」


「あ、いいけど。後ろの2人がなんかイライラしているみたいだけど。時間大丈夫?」


ホシリンと僕のやりとりを冷ややかな目で見つめるエスカリーテたちの姿がそこにはあった。


いや、これは断じて浮気などではなく。シルフィアは単に元カノなんだ。


「ヒロさん? シルフィアは銀河帝国とは犬猿の仲のアンドロメダ星系聖騎士団領の総帥ですよね……。ヒロさん。わたしに忠誠を誓いましたよね」


と金髪のエスカリーテ女帝は僕に冷たい微笑みを浮かべた瞳でみつめながら言った。


「ヤマシロさん。わたしじゃない方のエスカリーテは、まだ、現実とゲームの世界の区別が完全についていないので。彼女にはゲームの中と同じように接してくださいね。彼女は銀河帝国の女帝ですから。お忘れないように」


「なんのことです? ヒロ近衛隊長……。まさか敵国の総帥のシルフィア聖将に心を奪われたなんてジョークはやめてくださいね。帝国軍法では、その場で銃殺されても仕方ない行為ですよ。ホシリンとやら、その偶像はあとで廃棄しておいてください。目にいれるのも不愉快ですから」


ホシリンは肩をすくめると、即座にシルフィアのフィギュアをゴミ箱に投げ捨てた。

も、もったいない!!


「さあ、ヒロさん。作戦司令室にいきますよ。オペレーションHを完遂するために軍議をしなければ」

とスタスタと金髪の彼女は、僕がついてくるのを当然のように、疑いもなく先陣をきってオフィスを進んでいく。


黒髪のエスカリーテも、僕を一瞥することもなく、金髪の彼女のあとをついていく。


僕は早足の彼女たちを慌てて追いかけた。


ドアを開けるとそこには豪華な玉座がある。ゲーム内でも背景として良く目にしてた銀河帝国軍の女帝エスカリーテの絢爛豪華な執務室があった。


そしておそらく地球連邦軍の士官たちなのだろう。軍服を着た女性たちが7人ほどが円卓の席から立ち上がり、女帝エスカリーテに一斉に敬礼をした。































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