第8筆 レイドパーティー結成 (改稿)
スタンピードって異世界的にあれか、モンスターが大量発生する襲撃イベントだっけな?いやレイドの方がいい気がする。
男が青ざめた顔で言葉を続けた。
「しかもナゴルア山脈のドラゴンたちなんだよ!何百匹も襲ってきた!家畜たちもほとんど殺されてしまった………。」
ウィズムの補足情報によると始まりの平原の南側にある山脈だと言う。ドラゴンたちの棲みかで基本的には山から出て来ないらしいが何があったのだろうか?
推測としてドラゴンよりも強い存在が現れたとか?
俺と同じ召喚師が召喚したとか?
でも現状俺以外にはいないらしいから、とりあえず行ってみるしかない。
「その話、詳しくお聞きしたいのですが。」
「あんたのような若い冒険者にかなう相手じゃない。引っ込んでろ。」
「この子はシン。アタシと同じイカイビトでAランク冒険者だ。しかも失われた技術、召喚術が使える。」
「"覇天のシノ"さんのお墨付きとは申し分ないな。召喚術が使えるなんて信じがたいが、今はそんな事言ってる余裕がない。非礼を詫びる。すまなかった。だから手を貸して欲しい」
シノさんのネームバリューはとんでもないな。この村では知らない人がいない勢いだ。
「私も行こう」
そう言って立ち上がったのはオールバックの髪型、碧眼が特徴的なダルカスだった。彼はいつの間にかあらゆる武器を背負っていた。剣や斧、ハンマーに弓矢、短剣など様々だ。
「ほう、"
「うるせぇ、酔っぱらいジジイが。」
あのオヤジは………。さっきまで周りに酒瓶を散らかし呑んだくれていた髭むくじゃらのオヤジじゃねえか!
こいつもいつの間にか背中に大斧を背負い、両手にはメリケンサックを着けている。髭も三つ編みで整えられている。その髭整える必要あるのか?
「儂は"酔いどれ帝"ディルク、見ての通りドワーフじゃ。よろしくなシン。ミューリエ。」
「ダルカスさん、ディルクさん宜しくお願いします。」
「はーい、ここからはリコにお任せくださ~い」
「こういう事態はリコに任せた方が良い。」
ダルカスがそう言ったということは、クエストになるのか?
「では説明しますね。始まりの平原にドラゴンが多数出現。報告者曰く数百頭は確認したとのこと。
家畜、人民の被害は甚大だと予測されます。
これを緊急クエスト、レイドイベントとして登録します。報酬は一人白金貨2枚とします。
この価格は私とシノさんの独断ですが、命に代えがたいものはありません。だからこの価格です。」
「一人白金貨2枚って破格だろ!」
「いや、村を襲われたらひとたまりもない。妥当だ」
「二人の独断ってこんな田舎ギルドがそんな事したら潰れるんじゃ………」
「そんな事言ったらこっちが二人に潰される。」
「ザワザワザワ」
酒場スペースからそんな声が聞こえてくる。確かに破格だ。白金貨二枚は2億円か。本当に破格だ。
「リコとシノさんの文句言ってきた人たち。後でたっぷりお説教ですからね!」
「…………。」
「こほん、話を戻します。事態は火急。メンバーを確認します。」
「シン・イーストサイドさん、ミューリエ・エーデルヴァイデさん、ダルカス・シュナイデさん、ディルク・ドワルディアさん、あと………スライム? 」
「きゅうぅぅ?」
「ルゥって言います。俺とミューリエの召喚獣です。」
「えぇと、ルゥさん。以上の5名で異議ないですか?」
「異議あり。そのスライムは強いのか?」
ダルカスが異議を申し立てた。こいつ理屈家っぽいし。そりゃあスライムは最弱と言われがちだが、うちのルゥは大丈夫だろう。自動成長するから。
「ユニークモンスターです。そこらのスライムとは違うことを俺が保証します。」
「召喚術を使うお前さんの言葉、信じてみよう。」
「他に異議ありますか?」
「ないです。」
「ありません。」
「なし。」
「なしじゃ。」
「きゅうう!」
「パーティー名はシンプルにいきましょう。【竜に反するもの】」
こうしてパーティー名もメンバーも決まり討伐に向かうこととなった。
なるべく急いだ方が良いか。俺、急いでばっかりじゃない?
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