第6筆 ドキドキベッドタイムと一宿一飯のお礼(改稿)
ベッドが1つしかないもんな。どうしたものか………。
「一緒に寝ましょう、シンくん」
「良いのか?俺は床で寝るよ。」
俺はそう言って布団を画用紙に描き、召喚した。勿論地球産の布団だ。これの方が親しみもあるし寝やすいだろう。
え?同じベッドに寝て身体をこっそり触ってイチャイチャしても良いんじゃないのかって?
俺は紳士だ。そんなことはしない。
「折角一緒に旅をしているのに寂しいです。一緒に寝ましょう。」
「参ったなぁ、一緒に寝ようか。」
寂しいと言ってくれるのが嬉しい。俺は召喚した布団を
俺とミューリエがご飯を食べているときにウィズムが
だからもう一度布団を出したいときは
「失礼しまーす。」
「どうぞ~シンくん。」
~5分後~
この5分間、天蓋つきのベッドの天蓋をずっと見ていた。ガチガチに緊張して眠れない。左隣を見たらすうぅーと寝息を立てながら熟睡するミューリエの姿が。
寝付きが良いなぁ、可憐な寝顔だなと思っていたら彼女の半開きの口からよだれがたらーっと垂れていた。
あぁ、それを拭って舐めたい。あわよくば胸をモミモミしてやろうかとそっと手を伸ばしたら
『シンさま、そういうのはダメなのです。』
とウィズムに止められた。あぁ、いかん。理性が飛びそうになってた。
俺は紳士だ。そう、紳士でなくてはならない。恋愛は駆け引きも段階踏むのも重要だ。スキップしてもビンタされて嫌われるだけ。
恋愛の先生、ウィズム先生が止めてくださった。勉強になります。
『えっへん、そんなに褒めないで欲しいのです。』
「誉めまくったつもり無いから。調子に乗るなよ、ウィズム?」
『うっ、うっ、酷い……うわぁーーーん!!!!』
ウィズムが泣き出した。ホログラムの姿通りまだ子供で豆腐メンタルだなこりゃ。そう思ったらウィズムが更に泣き出した。
号泣が俺の脳内で響くだけにしているのはミューリエが起きなくて良いが頭が痛い。やめてくれ。
『豆腐メンタルってなによぉ。酷いシンさま。ひっく。ひっく。子供じゃないもん……ひっく…ひくっ。』
ウィズムを慰めるためにありったけの褒め言葉をかけたらなんとか泣き止んだ。おかげで俺は全く眠れなかった。
俺の思考を読むことができるこの機能は考えものなな。はぁ、疲れた。
こうして波乱の1日目は終わったのだ。
そう騒ぐシンたちを窓越しに他の建物の屋根から睨む黒いローブ姿の男がいた。シンは気付くことなく。
──────────────────────
朝、ミューリエに起こされ、げっそりした顔だったのでとても心配され、治癒魔法【ヒール】をかけてくれた。これのおかげで大分楽になった。睡眠を行うよりも治癒魔法をかけた方が良いんじゃないのか?
「そんなことはないです。治癒魔法は肉体を治癒しますが、精神的な疲れは睡眠でしかとれないものです。」
と真顔で言われたので本当なんだろう。
ミューリエはどのくらい魔法が使えるのかも気になったので聞いたら
「基本的に全般使えます。私は光属性の魔法が一番得意です。折角ですからエリュトリオンの魔法について説明します。
この世界には火・水・風・土・光・闇 属性の魔法があります。
そして、切っても切り離せないのが六聖神。
この六属性を司る神です。
その上に最高神がおり、私は最高神の娘です。
そして最高神は邪神になってしまったので倒して欲しいです。」
ミューリエは最高神の娘なのか。それは複雑だよな。
親を俺に殺してもらうから。
「邪神の娘か。そりゃあ複雑だよな。勇気を出して言ってくれてありがとう。出来れば殺したり封印しなくても大丈夫な方法も考えておくよ。」
「シンくん……ありがとうございます。」
さて、新たな情報を得たことだし課題も増えた。
・邪神を最高神に戻す だな
そろそろ一階に降りて朝食を食べよう。
~30分後~
あ、そうだ!亭主夫妻にと生きた成長する剣の話を教えてくれたお礼をしないとな。
「
「ウィズム、今から召喚するものを大気中の魔力で動くように設定してくれ。それと重量も魔法で軽くしてくれ。」
『え、りょ、了解なのです。』
昨日のことを引きずってるかな?
『引きずってないもん。』
「え?なんのこと?シンくん?」
「頼むぜ」
俺は日本でお馴染みの家電たちを召喚した。地球産が便利過ぎてついつい召喚してしまう。
洗濯機、4口のガスコンロ、魔力圧力鍋、ホットプレート等々思い付く限りの家電を描いて召喚した。
ちょっと疲れたぜ。ついでに描くスピードをあげる
「あんちゃん、ちょっとこれはどんな道具なの?」
「シン殿、これはどんな道具じゃ?」
「見たこと無いものだねぇ」
「故郷に住んでいた頃の家財道具です。奥さんには話を聞かせてくれたお礼です。それと、亭主にはこれを。」
高速描写の
こうしてちょっとメタリックな手のひらからビームが出る義手が完成した。
「なんじゃい、こりゃあ!?手のひらの穴はなんじゃ? 」
「右手がない亭主にプレゼントです。多分ぴったり合うと思います。その穴は護身用で光魔法が全て発動出来るようにしてます。大気中の魔力を利用して発動するので亭主の負担は少ないです。」
「おぉ、アンデッドにも効く代物じゃのう。ありがとの。うむ、動きも滑らかじゃ。」
光魔法はアンデッドに効くのか、勉強になる。
「あんちゃん、この道具たちはどう使うんだい?」
俺は一つ一つ説明していく。やっぱりこの世界に無いものばかりだそうでチェックアウトをする他の宿泊者からの注目の的になった。価格にすると赤金貨一枚分には相当するようだ。
その後、青葉のそよ風亭はシャルトュワの村で最も人気の宿屋になることを誰も知らない。
俺の召喚術が亭主夫妻にはかなり気になったようだ。
『シン殿が使うそれは何だい・何じゃ?』
夫妻は語尾以外をハモらせた。
「これは召喚術の一種で、絵を描くという媒体を通して何でも召喚できます。俺はこれが使える代わりに魔法が使えません。」
「魔法が使えないのは不便じゃな。しかし、召喚術か………召喚術は失われた技術じゃ。
今がエルツ歴500年で今の暦の前、ディラ歴というのが8000年程続いたんだが、それよりも前の記録には召喚術があったそうじゃ。
まとめるとな、8500年よりも前には確かにはあったが、時が経つにつれて失われたということじゃ。
ワシが知る知識としては以上じゃ。
カァちゃんはどうだ?」
「そうね……、世界樹の図書館に行ってみたらどうかしら?」
「ほう!確かにそうじゃな。シン殿、世界樹の図書館へ向かってみると良い。あそこにはエリュトリオンの全てが詰まっておる。」
「ありがとうございます!是非行ってみます。」
「ええんじゃ。」
「良いのよ、こんなに貰っちゃって。ありがたい限りだわ。」
めちゃくちゃ感謝されながら俺たちは宿を出た。
次は冒険者ギルドだな。とりあえず聞き込みしていくか。亭主夫妻に聞けばよかった。
「ところでシンくん、どうしてウィズムちゃんが少し拗ねているの?」
おっとそれを聞かれるとは!
「あ、あぁ、それは………」
「ふぅん?」
「ミューリエの寝顔が可愛かったからちょっと、イタズラしようとしただけだよ。そしたらウィズムに止められた。」
数秒程顔が赤くなったが、表情が真顔で止まった。
「イタズラしようとしたの? 本当に?
ウィズムちゃん、教えて。」
『ごにょごにょ』
ああ、やべえぜ、最悪な状況だ。勿論俺が悪いんだけど――
パシンッ!!!
そこからのミューリエの行動は速く目が良い俺が何とか追い付いた時すでに遅し。
濃いピンクの手形が綺麗についた。そして怒った時になるあのぷっくり顔。怒った顔も可愛いや。
「寝込みを襲おうとするなんて最低!今回はウィズムちゃんが抑えてくれたから大目に見ますけど次は許しませんからね!」
周囲を歩く人々の足が止まった。
そんな御器
おぉ、女神ミューリエは優しい。
純愛をすることを誓おうぞ。 はっ! これはエロ博士ではありませんか!
変な白衣着た爺さん出てきたけどいいや。
封印しよう。純愛しよう。
ってかこれもウィズムに読まれているのか。
(大丈夫ですよ、シンさまの人間くさいところが好きになりましたから。もう子どもじゃないのです。)
(わかったよ。君は子どもじゃないよ)
(シンさま絶対そう思ってませんよね。)
あー、もうめんどくさい。
本題に戻ろう。
冒険者ギルドを探そう。
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