6話 お土産のコーヒー牛乳
「家臣くん・・・私、匂います?」
「別に匂いませんよ。大丈夫ですよ。パンツもスカートも洗ったし・・・」
「嗅いでみて」
「えっ」
あるじと家臣の関係とは言え、かなりの美少女に、言われるとドキドキ感が半端ないんだけど・・・
「私は、これからかなり、そう言う事に、厳しい人に会わなくて行けないのです」
由良穂香はかなり真剣な顔して言った。
「だからちゃんと嗅いでみて・・・」
と言われたもんだから、僕はあるじの首の辺りの匂いを嗅いだ。
由良穂香だけに、ほのかに良い香りがした。
でも、
「そこじゃなくて!」
「えっ」
僕の表情がかなり拒否感を示したように見えて、由良穂香はちょっと凹んだ。
「いやこれが、恋愛関係なら問題ないけど、僕らは主従の関係な訳で」
「家臣くんの忠義は解ったよ・・・・じゃあ、嗅ぐんじゃなくて、膝枕なら良いでしょう」
「うん・・・それなら・・・。」
由良穂香は、嬉しそうにほほ笑んだ。
・・が、今度は照れまくり、赤面した。
現状を理性的に理解したみたいだ。遅すぎだ。
「じゃあとりあえず・・・・」
由良穂香は、そう言うと、僕の太ももに頭を乗せた。
「いや・・・あるじが僕を嗅いでどうするんですか!」
パニくるあるじには、これ以上は無理だったぽい。
あるじは、頭を上げて言った。
「お風呂に入りたいな・・・そうだ商店街の銭湯に行きたいです」
僕は、警戒を解くことなく、商店街に向かった。
商店街の銭湯は、まだ閉まっていた。
「でも、大丈夫・・・・さあ、家臣くんも一緒に来て、
家臣としてあるじの身体を洗うのです。
それは家臣の務めです」
あるじは、明らかに僕をからかう視線だ。
僕としては、あるじの身体を洗ってもいいのだ!
何と言ってもかなりの美少女だ。
でもここで、「御意」と答えたら、多分困るのはあるじだ。
きっと顔を赤らめて、言葉を詰まらせるに違いない。
だから僕は、言葉を濁した。
「えーと・・・」
「もう家臣くん照れちゃって、ほんの冗談だよ。
家臣くんはここで待ってていいよ」
あるじは車の外に出ると、何かの笛を吹いた。
多分犬笛だろう。
数秒後、街猫が近寄ってきた。
あるじは、街猫に何かを告げると、街猫は「付いてきな」的な顔で、隣の商店との隙間にあるじを誘った。
猫としゃべった?
45分後、その隙間から、由良穂香が出てきた。
「はい、お土産のコーヒー牛乳」
確かあるじはお金は持ってなかったような・・・
まあいいや。僕は瓶に入ったコーヒー牛乳を受け取った。
そして、二人並んでコーヒー牛乳を飲んで、
爽やかな朝を演出した。
「さあ行きましょう。秘密の巣窟へ・・・」
あるじはキリリと凛々しい表情で言った。
お風呂上りのあるじは、良い香りがした。
つづく
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