恋する女の子

好きとかよくわかんない


でもこの胸の高鳴りはもしかしたら恋かもしれない。


胸の奥が締め付けられるこの苦しい思い。

苦しいけど不思議と心地よい


彼のことを考えるだけで口の中が砂糖菓子みたいに甘くなって、癖になりそう。


彼のことをもっと知りたくて友達に聞いたりした。

1つ知るたびに彼に近づいたみたいで嬉しかった。

SNSなどを駆使していろんな情報を集めた


誕生日に住所、血液型、ほくろの数・・・


本人のSNSや元カノのSNSから、たくさん情報が出てくる。


彼は相当モテるから彼女を切らしたことがない。

まぁ長続きもしてないけど。最長で3ヶ月という異例の短さだ。


元カノの趣味傾向から好みの性格まで把握している。


好きなったかもしれない時期からもう2年だ。


彼のことを何でも知ってる


いつも付き合っている子とのデートでつまらなさそうにしてること。


いつもそれで振られてることも


いつも一瞬だけ少し悲しそうに表情を歪めて笑いながら別れ話を受け入れることも


全部知ってるよ


初めてできた彼女は黒髪ショートの女の子だったね。2週間後に何考えてるかわからないって振られてたね


君はあんまり表情を表に出さないからかな?

そこが知的!ってモテてるんだろうけど


よく見ればちゃんと大事にしようとしてるのになぁ・・・・

気づかないなんて馬鹿なのかな?

まぁいいけど!彼は私の将来の旦那さんなんだし・・・!

今は何もしないの。彼にいつか頬を染めながらこういうの”私と付き合ってください!”って。

彼好みの女の子。ぜったいOKしてくれるはず・・・!

そのために整形したしダイエットもした。

盗聴器とか買い漁ってるとお金が足りないから会社も建てた。

ちょっと稼げたらいいなぁって思ってたら思ったより機動に乗っちゃって大企業になったのは計算外だったけど・・・

まぁ誤差だよね!


あぁーかっこいいなぁ・・・

また写真フォルダの中身が増えちゃう・・・


ん?何あの女・・・

彼のことすごい凝視してる・・・・

もしかして同類(ストーカー)?

いやあの顔は34番目の元カノか。

引き止めてほしくて別れ話出したけどあっさりいいよって言われたやつだったよね。

未練タラタラなのかぁ・・・

でも彼はいま42人目とデート中だしなぁ・・・


あ、そうだ

利用するかぁ・・・いい機会だし。


ーーー


彼がいた


私の初めての彼氏。


好きだった


ダメ元で告白したら、いいよって


天にも昇る気持ちだった


でも、付き合った割には帰りもバラバラ、連絡先も持ってない。


それでも良かった


初めてデートしたとき彼はずっとぼやーってしてて


ほんとに付き合ってるのか不安になったから、別れましょって言った


引き止めてほしかったのに。


あっさりいいよって言われた


彼とはそれっきり会ってなかった


でもまだ好きだった


彼が女の人とある言ってるのを見てしまった


楽しそうに笑ってた


なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?


気づけば筆箱に入ってたカッターを手に持ってた


行けないってわかってるけど、戻せなかった


彼のことをじっと見てたら、後ろから声をかけられた


可愛い女の人だった


彼女はこういった。


”愛してるなら、その手でわからせてやればいいのよ”


”あなただけ苦しい思いをしてるのは割に合わないわ”


”協力してあげる。それで刺すのよ”


”私はお金だけはあるから、事件になんてさせないわ”


”さぁ、勇気を出して”


”彼はこの後路地裏に行くわ”


”そこで刺すのよ”


彼女が誰だとかどうでも良かった


言われるがままにカッターの刃を出す。


わたしはわるくない。かれがわるい。


悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない


彼が路地に入るのを確認すると勢いをつけて追いかける。


驚く彼の声がする


目を閉じて前に腕を突き出す。


私は悪くないから


あなたが悪いのよ


おそるおそる目を開けると


私に囁いてきた女の人がそこに倒れてた


お腹が赤い


私のカッターが刺さってる


叫ぶ彼の声がする


しこうがとまる


女の人は、痛そうにしてる


彼は大丈夫ですかって声をかけてる


あれ?


わたしがわるいの?


ーーーー


思ったより深手は負ったけど、まぁ概ね合格ラインの動きを34番がやってくれた。


これで初期印象は”自分を身を挺して守ってくれた子”になった


こういうの好きだよね


ダーリン♡

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