かくれんぼNGの公園

○●子供の頃の不思議な体験 2話目●○



302 :ななしの生徒さん

不思議オンリーというより不思議怖かった話なんだけど、いいかな?



303 :ななしの生徒さん

>>302

>>1には怖くても不思議要素があるならOKと書いてあるのでいいんでは?



304 :ななしの生徒さん

ここ最近雑談ばっかだからいいんでない?



305 :ななしの生徒さん

子供の頃怖かった話スレってなかったっけ?

・・・と思って検索したら落ちちゃってるのね。



306 :302(1/6)

じゃあ落とす。

最初に言っておくと、長い。


俺の地元には「かくれんぼNGの公園」というものがあった。

見た目はなんの変哲もない普通の児童公園。

住宅街の中にある、そんなに大きくない公園だ。

かくれんぼ以外で遊ぶ分にはなにも問題はなかったと記憶している。

鬼ごっことかサッカーとか……そういうことをしてもなにも起きない。

でもかくれんぼだけは絶対NGだった。

理由は「かくれんぼをすると女の幽霊が現れて、隠れている子供を連れ去ってしまうから」。

と、親から聞かされていたんだが、俺が真面目に受け取っていたのはせいぜい中学年くらいまで。

高学年にもなると生意気盛りで、「あれはしつけのための方便だったんだな」と思うようになった。

でも高学年にもなるとかくれんぼなんてもうしない。

だから親に腹を立てるとか……そういう気持ちになったことはなかった。



303 :302(2/6)

どういうきっかけがあったのかは忘れたが、普段はいっしょに遊ばない女子グループと遊ぶことになった。

そのなかでとある女子が「かくれんぼNGの公園」でかくれんぼをしようと言い出した。

ちょうど女子の間ではこっくりさんとかが流行っていた時期だったので、そういうことを言い出したんだろう。

俺たちは俺たちで悪乗りしてその女子の提案に乗っかった。

悪ガキな俺たちは「女幽霊に蹴りを入れてやる!」とか、女子の前だというのもあってわいわいとイキがっていた。


時間帯が外れていたこともあってか、公園には俺たちしかいなかった。

かくれんぼの鬼はじゃんけんで決めた。鬼は女子のA子になった。

その後は手順通りA子が目をふさいで数を数えているあいだに、そう広くない公園内に隠れ場所を見つける。

俺は公園の隅にあるトイレの裏側に隠れた。

レンガが積み上がった壁と、トイレの裏側の白い壁とのあいだの、ごく狭い場所で腰をかがめた。

ぶっちゃけ隠れ場所は限られすぎていたから、そこくらいしか隠れ場所がなかった。



304 :302(3/6)

A子が数を数え終わり、俺たちを捜し始めた。

俺は女幽霊が出たらどうしてやろうとワクワクしていた。

頭の中では女幽霊に飛び蹴りをかますイメージがあった。

女幽霊っていうのも、よくある長い黒髪に白いワンピース……みたいな姿を想像していた。

でも、実際はちょっと違ったんだよな。


まず、背が高い。そんで首をちょっとかしげるように頭を傾けている。

髪はボッサボサで、なぜか水が滴っている。

そして臭い。猛烈に臭い。生ゴミを更に発酵させたかのような臭いがした。

服の色はよくわからない。ボサボサのクソ長い髪に覆われていたから。

女幽霊は突然現れた。

まるでパッとテレポートでもしてきたかのように現れた。

そしてスーッとまるで宙にでも浮いてるかのような不自然な動きで俺に近づいた。

それで俺の顔面スレスレにまで顔を近づけてきた。

めちゃくちゃ臭くて、俺はオエッと吐きそうになった。目にもしみた。

飛び蹴りなんてかます余裕はない。

とにかく逃げたくて、距離を取りたくて仕方なかったんだが、体が動かない。



305 :302(4/6)

でも女幽霊はそれ以上なにもしなかった。

なにかボソボソッと言ったあと、またスーッと不自然な動きで離れて、俺の視界から消えた。

消えたあとも強烈な臭いは残っていて、ついでに俺はちょっとションベンを漏らした。


……というような体験を、鬼になったA子以外が漏れなく体験して大騒ぎになった。

A子を含めた女子は泣き出して大変だったし、俺たち男子も震えあがって、かくれんぼ前のような強気な態度はどこかへ行ってしまった。

それで俺たちは泣く女子を慰めながら家まで送ってやった。

他のやつらはわからんが、俺はそれを親には言えなかった。

自分でもにわかには信じがたい体験をしたという自覚があったし、怒られるかもという恐れもあった。


でも次の日からしばらく、学校ではかくれんぼNG公園での怖い話で持ちきりになった。

試したやつがいたのかはわからない。

でもそのうちに教師から注意が入って、うやむやのうちに噂は消えて行った。



306 :302(5/6)

A子から相談を受けたのは、噂が消え始めた頃のことだった。

「ねえ、B子のこと覚えてる?」とA子に聞かれた。

A子とB子はクラスメイトなんだけど、俺とはクラスが違った。

でももちろん、あの恐ろしい体験をした仲間だから、俺は覚えていた。

そう言うとA子は泣き出した。


どこのクラスにもB子なんて子がいないらしい。

俺はそれを聞いた瞬間、ぞわぞわっと鳥肌が立った。

B子という風に仮名にしてるけど、B子はまあキラキラネームって感じの名前で、他に同じ名前の生徒は少なくとも俺の小学校にはいなかった。

俺がB子という名前を覚えていたのも、かなり特徴的な名前だったからだ。

そのB子がいない。

B子が使っていた席にはまったくの別人の男子がいるそうだ。


A子はB子の家を知らなかったんで、家族がどうなっているかはわからないらしい。

A子に「どうしたらいい?」と聞かれたけど、俺はなにも言えなかった。

どうすればいいのかわからなかった。

結局俺はテキトーにA子を慰めて、それからA子とは特に話すことはなく疎遠になった。

一度だけ友達にB子についてさりげなく聞いたことはあったが、「だれそれ?」で終了。



307 :302(6/6)

それで先週、小学校時代の同窓会に参加した。

A子とも久々に顔を合わせた。

A子を見てB子のことを思い出した俺は、あの公園での恐怖体験をよせばいいのに蒸し返した。

「あれからB子、見つかった?」

「B子ってだれ?」


かくれんぼNGの公園は今でも俺の地元にある。

でも俺は絶対にその公園には近づかない。


おわり。



308 :ななしの生徒さん

投下乙。

臭い幽霊ってイヤだな・・・。

302だけがB子のことを覚えているのは霊感があるからなのかな。



309 :ななしの生徒さん

乙乙。

遊んでた友達が消える系の話って苦手。

自分がその立場になったらと考えると、どこに行っちゃったのかとか無限に考え出してしまう・・・・。



310 :ななしの生徒さん

302はB子のことどれくらい覚えてるの?



311 :ななしの生徒さん

存在消失がその公園にいる女幽霊の仕業だとしたら、相当強力な幽霊だよな。



312 :ななしの生徒さん

においに敏感なので臭い幽霊とか地獄すぎる。

302の霊感ってどれくらいあるの?

すでに言っている人もいるけど、霊感あるから記憶がいじられて(?)いないのかな?



313 :ななしの生徒さん

女幽霊はなんかいわれとかあるのかな。

なんとなく土左衛門のイメージがあるが。



314 :ななしの生徒さん

>>313

土左衛門って水死体のことか。

たしかに腐臭とか水がしたたってるところとかは水に関する幽霊なのかなと思った。

たとえばその公園は池を埋め立てられて作られた…とか。



315 :ななしの生徒さん

あるいは知らずパラレルワールドに迷い込んだ系の話かもしれない、とふと思った。



316 :302

乙コールしてくれた人ありがとう。


俺の霊感はそんなに上等なものではない。

なんで俺だけ覚えているのかもわからない。

霊感ある=霊的抵抗力?があるというわけでもないと思うんだけど。


女幽霊のいわれとか、公園のいわれとかはわからない。

でもたしかに俺の地元はニュータウンってやつだわ。

もしかしたら>>314の推理が当たってたりしてな。


まあとにかくあんなに不気味な噂があるのに公園が取り潰される気配がないのが、俺にとっては一番怖いかな。



317 :ななしの生徒さん

公園潰したら行方不明になった子供の骨が出てきたりして。

なんてね。



.

.

.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る