第5話・暴走した天音ちゃん
ベッドの中から見つかった、俺の写真が大量に入ったアルバムを天音に見せつける。
「あ…いやぁ…そのぉ…それは…その…」
まるでエロ本が見つかった思春期男子のように、歯切れが悪い天音。指を絡めさせて、目線を俺から逸らしてソワソワしている。
「別に俺は怒ってるわけじゃねぇんだよ。だけどね…?ダメでしょ盗撮は。流石に犯罪だべ?」
「うぐっ…」
しかもこんな昔から盗撮されていて気づかない俺もバカだ。うわぁ…何枚あるんだよこの写真。
「…っっ…あぁそうですよ!!小学生の頃はそのアルバムに修斗の写真を乗っけて、中学生の時はこの写真でソロプレイしてましたよ!!そしてそれは現在進行形でも変わりません!!」
「正直に白状しやがったなこの性欲魔神」
さすがの俺でも…うん、引いた。流石に恋人とはいえ…自分の盗撮でそんなことされてたら…ちょっと…。
「だって仕方ないじゃん!!ずっと前から修斗のこと好きだったし、かと言って告白したら立ち直る勇気ないし!!欲望はどうしても出ちゃうの!!」
もう全部告白しやがったよこの人。
その数秒間、沈黙が続いた。
嫌われたのかと思ったのか、恐怖で満ち溢れた天音が俺に目を向けた。
「はぁ…」
ビクンッ、と天音の肩が震える。
「まぁアレだな。これはもう必要ないな」
「な、なんで!?」
「だって恋人になったんだし、欲望あるなら俺本人に吐き出せばいいじゃねぇか。こんな写真なんかよりもさ」
その方が天音も嬉しい俺も嬉しいで両方ハッピーな終わり方だ。
「お、怒ってないの?」
「別に?ちょっと引いたけど、天音がこんなに俺のこと好きなんだと思ったら、なんか嬉しかったし」
そう思うと、自然と俺の中で独占欲というドロドロしたものが生まれ始めた。
「ほ、ほんと?良かったぁ…」
心底安心したように、天音は胸を撫で下ろして床にへたり込んだ。
「もう…絶対嫌われたかと思ったぁ…」
「お前に何年片想いしてたと思ってんだ。これぐらいで揺らぐか」
正確には片想いじゃなくちゃんと両思いだったのだが、まぁそこはどうでもいいだろう。
へたれこんでいる天音と目線を合わせる。
「なぁ天音」
「何?」
「なんだろうな…お前がこんなに俺のこと好きなんだと分かると、なんか…無茶苦茶にしたくなる」
独占欲も軽く混じっているだろうその感情。正直自分でも気持ちが悪いと思ってしまう。
天音の肩がビクッ、と跳ねて、顔を赤らめながら、小さな、消え入りそうな声で誘ってくる。
「ねぇ修斗…キスする?」
「…言わせんな」
俺と天音は、今までより一段と深いキスをした。何秒か、何十秒か、天音の息が切れるまでずっとしていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
顔は赤く染まり上がり、妖艶とも呼べる表情と、気配になった天音。男の本能が訴えかけてくるが、それを押し殺す。まだそれには早すぎる。
だけど…一線を超えないほどのギリギリの行為を、俺らは夜になるまでずっと行っていた。
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