第2話別の世界

 ……?

 ここはどこだ?

 あれ、声が出ない。というか体が動かない。られかが頭を撫でてくれる。俺は夢を見ているのだろうか?不思議な感覚だ……。鳥の囀りがよく響いている。

 辺りを見渡すと木々が生い茂っている。私は研究室にいたはず……。

 「起きましたか。一時はどうなるかと思いましたよ」


 声のする方向に顔を向けると、そこには女性も嫉妬するほど美しい女性がこちらに声をかけてきた。

 綺麗な茶色の目と黒い髪。透き通るような透明度の高い肌は、世の男性の目をくり抜くほどだろう。

 そして俺は瞬時に理解した。あぁ……俺はあの物語の世界に来てしまったのだと。

 一応彼女に礼を言った。どうやら旅の途中に俺が倒れているのを見つけたのを見て介護してくれたらしい。

 俺はこの世界について質問するとちょと怪訝そうな顔を見せたがすぐに話してくれた。


・迷宮があり、そこから宝箱や穢れと呼ばれる奇妙な化け物がいるらしい

・十一の獣が聖杯を求め各地に巡っておりいつ現れるかわからない

・獣同士が出会うと大きな被害が起こる


 ラノベをよく読んでいたからこのような話は、よくある。もちろん恐怖もあるが、それよりも今わ好奇心が優っている。やりたいことも増えてくる。せっかくこの世界に来たのだから私はその対戦には巻き込まれず魔法を覚え、魔物を退治してみたい。そんな平和なことを考え、彼女と分かれた。


 そして夜になった。一文無しの俺を哀れんだのか知らないが、彼女からいただいた金貨3枚を崩し、メルロマという4番目の都市の安い宿のベッドの上で瞑想することおよそ二時間。

 気付けば寝てしまった。気を取り直して瞑想を続ける。

 

 ……グゥグゥ、はっ……。


 気がつけばまた寝てしまっていた。

 もう一度瞑想……。やはり体の中にもやもやとする何かがあるのがわかる。それはほんの一握り程度だが、確実にそこにはある。なんとか左手にそのモヤモヤを集めてみようと思うしか今は方法がない。

 そしてモヤモヤを集めてから2週間する頃ようやく集められた。このころになるとモヤモヤは魔力に似たようなものだと推測される。だがこれがなんなのか今だにわからないままだ。動かすこともできない。そのもやは左手の甲に薄い羽と弓の紋様が現れた。

 しかしこれ以上は疲れて動けなくなってしまう。それでもめげずに魔力を動かす訓練をしつずける。半年が過ぎるころには、意識しなくても魔力が身体中を巡るのを感じ取れるようになってきた。だが、感じるだけで、発動しない。

 体がまだついてきていないのかもしれない。

 俺は17歳となっている。この世界では16歳からもう大人の仲間入りだが、まだ技を打つに足らないということなのだろうか。(ちなみに金貨一枚でこの宿の場合1年は住んでいられる)

昼間はギルドに向かいゴブリン討伐クエストをやっている。中高大弓道部ということもあって、無傷でゴブリンを狩っている。

 初めの頃は苦労したものだ、捌くときに返り血とかが跳ね返りがあり汚れてしまったりとか、一斉に襲われたとき対応に困ったりとか……。そんなことを考えながらもう顔見知りの受付に行き還元した。

 この受付の人にこの紋様を見せたとき知らないという顔されたとき、俺はたいそうショックだった。悩んだ末に彼は図書館を勧めてくれた。

 なるほど。確かにこの世界の仕組み、法則、紋様、十一の獣について調べるいい機会だ。後日行くとしよう……。

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