第4話
簑輪さんはたしか頭がよかったんだっけ。いや、僕は当時それを気にかけるほどの余裕がなかったんだ。ほら、城野とかそれ以外の奴らが僕の消ゴムを奪ったり蹴ったりして目眩ましをくらうと教科書や体操服が女子のロッカーに入れられたり女子トイレに放り込まれたりとかいろいろあったんだ。
またか、みたいな毎日だったよ! そういや、簑輪さんも目の当たりにしたんじゃないかな? どう、地方と都会ではガキの民度に差があった? 僕は毎日、青木さんという子に告白しろとか、あとなんだっけ忘れた。
えっと、あんまし女の人には分からないかもしれないけど、好きな人がいるって言われるだけなのに屈辱的ということがあるんだよ。バカでしょ? 僕もそう思う。
そうだ、僕が小説嫌いな理由なんだけどね、こういうのを「謎」とかにして話を引っ張ろうとするからなんだよね。物語のやり口とでもいうべきかな。だから僕は自分で結論の出ているところはすぐに話すよ。ふたりのように小説なんて書く気はないからね。
彼らは僕の人格を全て粉々にしたかっただけ。それ以外に理由はないんだ。だから僕の姉が誰かと付き合っていたらそれも僕のことをおちょくるネタになるんだ。血の繋がりだけだよ? ほんとに馬鹿みたいじゃないかな?
あ、そうだ。僕はこれを徹底的に小説的にしようと思わないんだけど、所詮は僕なんていう凡人が言葉を使えば小説の仕組みに回収されちゃうんだ。だから、僕は君たちが聞きたいであろうことの本質もすぐにバラして目の前に並べてそれを無茶苦茶にするよ。君たちの目的って「どうしてウチをいじめたのか犯人の僕に語らせたい」だろ? それを取材したら何か小説のネタになるかなぁって思ったの?
アホちゃう?
すみません、トリスをロックで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます